希望の力描く絵本「えんとつ町のプペル」 平安山さんが八重山の子に贈る


この記事を書いた人 アバター画像 斎藤 学
八重山の子どもたちに絵本「えんとつ町のプペル」を寄贈した平安山太輝さん(左)=7月28日、石垣市教育委員会

 【八重山】石垣市で調理師として働く平安山太輝さん(32)が絵本「えんとつ町のプペル」(にしのあきひろ著)120冊を、八重山の全小学校や幼稚園などに寄贈した。7月28日に、市教育委員会で石垣島の子どもたちへの贈呈式が開かれた。希望を信じて行動する絵本の登場人物に触れることで、子どもたちにはコロナ禍で不安が渦巻く状況にも負けない力を付けてほしいと願っている。

 「えんとつ町―」は黒い煙に覆われ、星の見えない街を舞台に、みんなから仲間外れにされる「ゴミ人間」と少年が、希望を信じて行動し奇跡を起こす物語。ことし12月には映画公開も予定される。

 息子が通っていた保育園の保護者会長を務め、子どもたちとの関わりが増えていく中で「子どもたちのために何かできないか」との思いを募らせていたという平安山さん。新型コロナウイルスの感染拡大で、子どもたちが友達とも遊べない状況が、その気持ちをさらに強くさせた。

 たまたま出会った「えんとつ町―」に感銘を受け、八重山の子どもたちにも読んでほしいとの思いから、クラウドファンディングで全国から資金を募ったところ目標額30万円を超える支援が全国から集まった。にしのさんからの支援も受け、全ての寄贈本ににしのさんがサインをしてくれた。

 平安山さんは「コロナで、不安に感じているこどもたちもいると思う。そんな中でも絵本を通じて負けない力、信じ抜く力を養ってほしい」と話した。絵本の中の街に開発が進む石垣島を重ね合わせ、自分の住む町の環境について考える契機にもしてほしいとも語る。

 平安山さんは今後も「えんとつ町―」で描かれた絵が光る移動式絵本展「プペルバス」を、石垣島に呼ぶための活動を展開する予定だという。