沖縄戦の記憶「引き継ぐ」 東京の高校生、白梅之塔に今年も献花 「忘れず心に」元学徒と交流続け7年


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 沖縄戦で白梅学徒隊として戦地に動員された県立第二高等女学校の学徒らを追悼する「白梅之塔」にささげてほしいと、終戦記念日の15日に毎年、花を贈っている高校生がいる。元白梅学徒の中山きくさん(91)と7年来の交流を続けている東海大学付属望星高校3年の三浦花音さん(18)=東京都府中市=だ。今年も三浦さんから贈られた花を前に中山さんは「『沖縄戦のことを心に刻んで忘れない。引き継いでいきます』と言ってくれることが力になる」と語る。

中山きくさんと交流のある東京都の高校3年生、三浦花音さんから届いた白梅之塔の供花=15日、糸満市真栄里の白梅之塔

 中山さんと三浦さんが初めて出会ったのは2014年10月。沖縄を訪れた三浦さん親子を中山さんが案内し、第二高女の生徒らが「白梅学徒隊」として動員された八重瀬岳の手術場壕や糸満市真栄里の白梅之塔など足跡を巡った。

 当時、和光小学校(東京都)の6年生だった三浦さんにとって、初めて入った壕の冷たい空気や、沖縄戦当時、麻酔がない中で行われた負傷兵の手術を学徒らがろうそくで照らしたという話は衝撃的だったという。

 三浦さんは8月15日にいつも沖縄戦のことを考え、平和を諦めないことを教えてくれた中山さんを思い出す。「『最後までやる。それが自分の人生だから』という大人はあまりいない。戦争のない世界のために倒れるまで語り部をする、というきくさんに勇気をもらっている」と話す。

三浦さんからの写真と手紙をファイルに大切に束ねて保管している中山きくさん=15日、糸満市真栄里の白梅之塔

 中山さんは15日、白梅之塔で焼香し、自身の思いを受け止めてくれた三浦さんのような若い世代が増えていることを亡くなった同級生らに報告した。中山さん自身、同級生や仲間を亡くす日々の中で落ち込むことがあるというが、それでも若い世代の思いが沖縄戦の語り部を続ける原動力だと語った。