【名護】安倍晋三首相が28日、辞任する方針を表明した。米軍普天間飛行場を名護市辺野古に移設すると日米両政府が合意して以降、過重な基地負担への反発や北部振興を巡り賛成と反対に分断されてきた名護市。2014年に埋め立て工事を開始した安倍政権への評価を、1997年に移設受け入れを表明した比嘉鉄也元市長(93)、2006年に辺野古沿岸のV字滑走路を建設にすることに合意した島袋吉和元市長(74)、10~18年まで2期8年間、移設反対を訴え続けた稲嶺進前市長(75)に聞いた。
成果残した内閣 比嘉鉄也氏
歴代内閣の中でも、安倍政権は国防や外交、経済などさまざまな分野で成果を残した。辺野古移設に伴う工事は、今後誰が首相になっても、どの政党が政権を担うことになっても続くだろう。移設が実現しなければ普天間から基地はなくならないからだ。沖縄全体の負担軽減のため、普天間から基地をなくし、嘉手納基地より南の全ての基地を返還してもらうことが重要だ。次期首相は安倍政権の方針を継続してほしい。一朝一夕にできるものではないが、県民を説得し、地位協定の問題に取り組むことが政府の責務だ。
世界のリーダー 島袋吉和氏
突然の辞任表明でびっくりしている。安倍首相はトランプ米大統領とも個人的な関係を構築し、日本だけでなく世界のリーダーの一人として存在感を発揮していたので残念だ。2006年にV字型滑走路に合意した後も辺野古移設はすぐには進まなかったが、安倍政権は日米間の合意を確実に進めた。日米関係が良好だからこそできることだ。また、北部振興にもしっかりと取り組んでいた。最近は尖閣周辺で領海侵犯が繰り返されており、沖縄の安全保障はより重要になっている。次期首相も着実に日米合意を進めてほしい。
最も冷たい首相 稲嶺進氏
歴代首相の中で安倍氏は沖縄にとって最も冷たく、厳しい判断・見方をしてきたと個人的には思う。辺野古新基地建設問題は安倍氏にとって「得意」とされ、「基地の返還・縮小へできることは全てやる」「普天間飛行場の危険除去」などと言い続けた。聞こえはよかったが、県民には耳障りな言葉だった。(新基地に隣接する)久辺3区への特別な手当などで住民の分断を図った。新基地建設は長期間を要し、予算も青天井と予想される。(配備が断念された)イージス・アショアのように見直すべきだ。