<安倍政権と沖縄2>基地と予算のリンク容認、「国直轄」が増えた狙いは


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安倍首相を出迎える仲井真知事=2013年2月2日、那覇市泉崎の沖縄ハーバービューホテル

 安倍晋三政権は米軍基地問題で対立する沖縄側に対し、沖縄関係予算を減額するなどして事実上の「アメとムチ」政策を取った。政権幹部が沖縄振興特別措置法の立法趣旨とかけ離れた「基地と振興のリンク論」を容認する発言をするなど露骨なけん制を続けた。

 安倍政権は2013年12月に仲井真弘多知事(当時)から辺野古埋め立ての承認を得る際、「第5次沖縄振興計画(12~21年度)実施期間の沖縄振興予算を毎年3千億円台確保する」と閣議決定した。だが辺野古新基地建設に反対する翁長雄志前知事が就任した15年度以降は予算の減額傾向にある。

 県の裁量が大きい一括交付金も6年連続で減額している。沖縄関係予算には本来、国の予算で措置すべき那覇空港滑走路増設や沖縄科学技術大学院大学関連分も含まれており、これらを除けば3千億円を割り込むことになる。

 沖縄基地負担軽減担当相の菅義偉官房長官は16年8月、沖縄の基地問題と沖縄振興について「両方の課題を全体で総合的に推進していく意味合いにおいてはリンクしているのではないかと思う」と述べ、リンク論を初めて容認した。

 この発言通り、予算は減額傾向にある。さらに予算全体に占める国の直轄事業の割合は年々増えている。19年度には国が県を通さず市町村に直接交付する「沖縄振興特定事業推進費」が創設された。翁長県政を引き継ぎ基地問題で対立する玉城デニー県政が県内市町村に及ぼす影響力をそぐ思惑が透ける。