辺野古設計変更、環境負荷増大は必至 軟弱地盤改良で杭の数示さず


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 米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設について、県は8日、沖縄防衛局が提出した設計変更の承認申請書を公表し、県民らの意見を募る手続きを始めた。防衛局は設計変更で大規模な地盤改良工事を追加しており、環境負荷が増大するのは必至だ。工事の影響を受けると自身で考える人は誰でも県に意見書を提出することができる。県は、寄せられた意見書に加え、名護市など関連自治体に問い合わせた意見を踏まえて内容を審査する。審査は年明け以降までかかる予定で、最終判断は次年度以降となる可能性が高い。辺野古新基地建設に反対している玉城デニー知事は承認に応じない構えだ。

 沖縄防衛局による設計変更は、名護市の大浦湾に広がる軟弱地盤を改良する工事を追加するためだ。護岸・岸壁の配置や埋め立て工事の順序を変える内容も盛り込まれている。地盤改良工事の追加で工期延長や工費が膨らむ一方、一部工程を省くなどして工期短縮を図った。それでも米軍が使用するまでに12年、約9300億円かかる計画だ。

 防衛局は、申請書に杭(くい)の本数や太さなど改良工事の詳細を明示していない。工法を説明したのみだ。過去に専門家を集めて設置した技術検討会では、砂などで作った杭約7万1千本を海底に打ち込み、最も深い所で70メートルまで改良すると説明していた。防衛省によると、8日現在、杭の本数や改良面積(約66ヘクタール)に変更はない。

 護岸や岸壁の配置を変更し、海から埋め立て用土砂を搬入するための場所を2カ所追加した。沈下を見越して一部護岸の高さを上げている。地盤改良後、外周護岸を閉め切らずに土砂を入れる方法も採用した。

 当初計画で資材置き場として予定していた辺野古漁港付近の埋め立て(約4・6ヘクタール)を削除した結果、埋め立て面積は157ヘクタールから152ヘクタールに小さくなった。

 埋め立てに使う予定だった海砂は地盤改良に回し、代わりに工事で発生した浚渫土や公共工事で出た残土、建設廃棄物を再利用した資材などを使う計画にしている。