抗がん作用に期待「βグルカン」泡盛粕で培養 沖縄高専と伊藤忠が共同開発


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日本応用糖質科学会の技術開発賞を受け、喜ぶ沖縄高専の池松真也教授(中央)、伊藤忠製糖の平林克樹研究開発室長(左)、近藤修啓主任研究員=1日、県庁

 沖縄工業高等専門学校(伊原博隆校長)など4高専と伊藤忠製糖(愛知県、佐藤浩雄社長)は9月、抗がん作用が期待される多糖類「βグルカン」に泡盛粕(かす)を与えて増やす方法を共同開発したことなどが評価され、日本応用糖質科学会の技術開発賞を受けた。沖縄高専と伊藤忠製糖が1日、県庁で会見し、今後は健康、長寿につなげる機能性商品開発のプラットホームを構築する考えを示した。

 4高専と伊藤忠製糖は2016年から研究コンソーシアムを形成。黒酵母に泡盛粕を与えてβグルカンを培養する方法を開発した。βグルカンは通常粘りが強いが、伊藤忠製糖の持つ水熱処理技術を生かして粉末化できるようになり、分子構造や機能性を解析した。血糖値低減、腸内の善玉菌増加も確認されたという。

 この研究体制から派生して、19年4月にうるま市の沖縄ライフサイエンス研究センターに共同研究ラボを開設した。ことし2月には伊藤忠製糖の「宮古島のふんわりさとうきび糖」のパッケージを沖縄高専生がデザイン、琉球エアーコミューターで機内販売した。売り上げの一部は沖縄のサンゴ礁保全活動に寄付する。

 今後はこれらの研究を生かし、名桜大学とも連携して機能性商品開発のプラットホーム構築を目指す。

 沖縄高専の池松真也教授は「長寿に関係する細菌を増やせるのではないか。サプリメントなどに生かせる」と期待する。