就活を始める際に参考になるのがインターンシップ。企業を直接訪ねることで、社員から話を聞き、一定の期間仕事を体験して企業情報を多く得ることができる上に、働くことそのものを“体感”できる貴重な機会です。これまでは本格的な就活を始める直前の大学3年生が対象のインターンが多かったのですが、近年では、沖縄県内でも1~2年生も参加できるものが増えてきているようです。では、インターンはいつ始めた方がいいの?コロナ禍による影響は?就職支援の専門家に聞きました。(デジタル編集グループ・田吹遥子)
■「1年生から受け入れ」増加中
琉球大学キャリア教育センター助教で、県内5大学と企業などでつくる「うりずん+インターンシッププログラム」の事務局コーディネーターでもある温山陽介さんによると、「うりずん+」では、今年24社中21社が1~2年生のインターンを受け入れたそう。「数年前までは3年生だけだった企業がここ1、2年で2年生以下もOKにし始めている例は実際にあります」とのこと。
さらに、温山さんによると、1~2年生対象とするインターンと、3年生対象では企業側の目的や意図が異なるようです。
「3年生対象のインターンは、企業が次年度に採用する人を探す『リクルート的』な意味がありました。でも最近は多くの仕事を知ってほしいという『キャリア教育的』な視点が重視され、1~2年生もインターンの対象になりました」。
■「決まっていない」人こそ行こう
沖縄でキャリア教育的な視点からインターンを実施する企業は、沖縄の就活生にさまざまな体験をしてキャリア選択の参考にしてほしいという思いを持つ企業が多いようです。
温山さんは「沖縄の若者のためならと、好意的に受け入れてくれる企業が多いです。ある意味沖縄の特徴であるかもしれません。気軽に参加して、自分の人生や就職について考える材料にしましょう」と話します。
人材育成やコンサルティングを手がけるリボルブ代表で、沖縄国際大講師の鮫島智行さんも早めのインターン参加を勧めます。
「学生から『自分が進むべき道が決まっていないのにインターンに行ってもいいのか』という質問を受けるが、決まってないからこそむしろ行くように言っています」と鮫島さん。「学生からは、自分と接点がない企業(主にBtoB企業=企業向けのモノやサービスなどを販売する企業)は見えておらず、視野が狭い状態。だからこそ、関心がある業種だけでなく全く縁がなかった業種もインターン先に選んで行ってみることも大事です。相対的にみることで自分に合う企業かどうかが見えてくるはず」と話しました。
■どんな内容?コロナによる変化は?
インターンはどのような内容で行われることが多いのでしょう。
温山さんは「一部は50人規模で受け入れていたところもありますが、数人で開催する企業が多い」と話します。
期間は2~3日だったり、1週間だったりと企業によってさまざま。直接訪問して現場で実際に仕事を体験するものから、「課題解決型」と言って、社員と一緒にある課題についてワークショップスタイルでディスカッションしたり企画を考えて発表したりするものもあるようです。
特に今年は新型コロナウイルスの感染拡大も相まって、状況は変わっています。
鮫島さんによると「県内は小規模の企業が多いため、オンラインインターンの準備までできず、中止した企業も結構あった」と振り返ります。例年なら12月~2月ごろに主に3年生を大賞にしたインターンを実施する企業があるようですが、今年はその冬季のインターンもできなくなる企業が出てきているとか。「インターンが開始できないという企業もありますが、2022年卒の採用自体を取りやめようと検討している企業もあると聞きます」。
温山さんによると、今年「うりずん+」でインターンをしている約半数がオンラインで実施しているとのこと。最小の開催人数で実施する企業もあります。今年だけでなく今後も「リアルとWEBを組み合わせたものが続きそう」と推測します。
オンラインだと、実際に企業訪問ができないため、課題解決型のインターンがメインになる傾向にあります。中には「ほぼ会社説明会状態」になる企業もあるとか。 ただ、IT系の企業に興味のある学生には朗報なことも。IT系の企業だとオンラインによる業務がほとんどなので、オンラインのインターンでも、実際の仕事内容に近いことを体験できます。さらに東京など県外のインターンにも気軽に参加できます。
鮫島さんは「(インターンを含めて採用に関するイベントを)オンライン開催に移行できている企業かどうかも、学生が企業を選ぶ判断基準になり得る」とも指摘します。
■インターンの情報はどこで取得?
各企業ごとに開催内容も時期も異なるインターン。特に1~2年生だと、就活の情報に触れることがまだ少ないため、どの企業がインターンをやっているのか、どれに参加したらいいのか分からない人も多いはず。鮫島さんの話をまとめると、以下の通り。
(1)まずは各大学の就活関係課の掲示板やHPをチェックするのがいいでしょう。企業から各大学に寄せられた情報をまとめてみることができます。大学によってはインターンを単位として認定するところもあります。詳しくは各大学の就活関係の窓口を訪ねてみてください。
(2)次は就活に関する情報を流しているメディア。合同企業説明会や採用情報だけでなくインターンに関する情報も載せています。
(3)目星を付けている企業があれば、その企業のサイトを訪ねるのが早いでしょう。募集情報がサイトになければ、直接電話して問い合わせてみるのもいいですね。
■うりずん+インターンシッププログラム
沖縄県内の5大学(琉球大、沖縄大、名桜大、沖縄女子短期大、沖縄県立芸大)と県内企業が連携してインターンを行う「うりずん+インターンシッププログラム」という取り組みもあります。連携している大学の学生のみが参加できるプログラムです。(※連携大学は年によって変わります)事務局コーディネーターの温山さんに聞きました。
(1)応募期間などのスケジュールは毎年4月に発表。参加企業と学生のマッチングイベント「インターンシップフェア」に参加し、興味がある企業が見つかった学生は正式にプログラムに応募してインターンに参加します。
(2)マッチングイベントのみならず、専任コーディネーターによる面談もあり、インターンにいく企業を自分の関心や目的に合わせて探すことができます。事前研修では企業側が最も重視する「目的意識」を明確化するワークショップや、先輩学生との交流も。ビジネスマナー講座を受けることもでき、インターン初参加の学生にもおススメです。
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全国と比べて動き出しが「遅い」と言われている沖縄の就活生。さまざまな仕事、企業があると知ることは自分自身の選択の幅を広げます。県内の企業を”体感”できるインターンに早めに参加できると、自分の将来の仕事を考える機会が増え、就活の早めのスタートにつながるでしょう。
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「新!沖縄就活のイロハ」では、沖縄県内の企業の採用状況やオンライン就活のコツなどを就職支援の専門家に聞きました。ウィズコロナ時代の沖縄で就活をする際に役立つ情報をお届けします。