映画「彼女は夢で踊る」(時川英之監督)が、那覇市の桜坂劇場で公開されている。同映画は、閉館すると何度も宣言しながら営業を続ける実在の広島のストリップ劇場を舞台にしている。同映画の魅力や沖縄への思いを時川監督と企画・出演の横山雄二に聞いた。 (聞き手・藤村謙吾)
―「ギャラクシー賞」(2015年)受賞歴のあるアナウンサー横山は、時川の初監督作品「ラジオの恋」に主演した。新作では、ストリッパーのひもの「金ちゃん」を演じている。どんな役どころか。
時川英之 スケベで面白い横山さんの良さを出せるキャラクターを考えていた。実際に全盛期には、ストリッパーのひもがしばしば劇場にいたらしい。全盛期を象徴する登場人物で、金ちゃんが劇場を去ると物語が急転する。横山さんが瞬間瞬間で出してくるアドリブのセリフが、キャラクターを仕上げてくれた。
―全国上映で、満席やロングラン上映をする劇場がいくつもあったが、何が要因か。
横山雄二 上映が始まってみると、女性のお客さんが多かった。映画は、どこかどきどきさせられるストリップ劇場の雰囲気を残しつつもいやらしさを取っ払い、矢沢ようこさんや岡村いずみさんの体をきれいに描いている。それらが、SNSで話題を呼び集客につながったのではないか。映画館の方も「号泣率100%だ」と言ってくれた。かつて全国に約300館あったストリップ劇場は今、19館ほどになってしまった。見たかったけど見られない文化になりつつある。その文化を体験してもらって、大人の純愛も楽しめるのがこの映画だ。
―沖縄の観客に向けてメッセージを。
横山 仕事で広島カープのキャンプを見に毎年沖縄に来ていたが、映画関係で訪れるのは初めて。上映に当たり、広島県人会の方々が協力してくれ、監督と『沖縄で映画を作ろう』となった。自分たちの知らない歴史や景色にも触れ、製作意欲を沖縄の街が沸き起こしてくれた。
時川 16、17年前に糸満で代行運転手を題材にしたショートフィルムを撮影した。そのときも、地元の人たちに協力してもらった。沖縄には絵になる場所がたくさんある。また沖縄で撮りたい。
実在ストリップ劇場を幻想的な恋物語に 映画「彼女は夢で踊る」時川監督らが語る制作裏話㊤
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