朗読劇で沖縄戦表現 南風原・平和芸術祭 手紙で思い伝える


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 【南風原】俳優で演出家の上田真弓さんが代表を務める「演劇企画ウニココ」の朗読劇「手紙 Letters」が12月20日、南風原文化センターで上演された。同作品は上田さんが沖縄戦を題材に平和への思いをテーマに書いた。犬塚拓一郎さんのピアノに乗せて、上田さんが朗読した。「沖縄アジア国際平和芸術祭2020」の一環。 

 「手紙 Letters」は、とある村が大きな戦争で多くの人が犠牲となり、その後フェンスに囲われて土地も奪われてしまう。生き残った村の人たちはフェンスの向こうにある大切な場所に向けて手紙を届けようとする。
 朗読劇は2回上演され、2回目は観客参加型だった。スクリーンに映し出された沖縄戦の映像や絵を背景に、上田さんが抑揚を付けながら情感込めて朗読した。前半と後半は客席に座る子どもたちが自分で書いた手紙を読み上げるなど、工夫を凝らした演出で深みを持たせた。
 参加した川上こころさん(16)=向陽高校1年=は「沖縄戦や沖縄の戦後をスクリーンを使いながら新しい視点でリアルに描いていて面白かった」と絶賛した。當山桜子さん(14)=昭和薬科付属中2年=は「自然と物語の世界に引き込まれた」と語った。
 上田さんは「戦跡の中に建つ南風原文化センターで、この作品を上演するのは意義深く感じた。もっと多くの人に伝えたい」と話した。
 「手紙 Letters」はウニココの舞台映像作品「いき Breath」の一場面。
 「いき Breath」は動画配信サイト「ユーチューブ」に公開されており、QRコードからサイトにアクセスできる。 (金城実倫)

上田真弓さん(右上)の朗読に乗せて手紙を読む子どもたち=12月20日、南風原町立南風原文化センター
舞台映像作品「いき Breath」のQRコード