prime

沖縄県議会の女性比率3割遠く 各党の取り組みは<「女性力」の現実 政治と行政の今>8


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

written by 吉田健一

 琉球新報が昨年末に実施した、政治分野における女性進出やジェンダー・ギャップに関する政党アンケートでは、県内6政党全てが女性の政治家を増やすことについて「賛成」と答えたにもかかわらず、現実はそうなっていない。政党ごとの取り組みや認識などを検証した。

 2018年5月、国会や地方議会の選挙で男女の候補者数をできる限り均等にするよう政党や政治団体に求める法律「政治分野における男女共同参画推進法」(候補者男女均等法)が施行された。しかし、県関係国会議員9人はいずれも男性で、年内に実施される衆院選沖縄選挙区でも女性の立候補予定者は1人だけだ。

 一方、19年12月現在の総務省の調査では、県議会の女性議員の割合は10・9%だった。参院選出馬に伴う女性県議の辞職も影響し、前年の割合から減少。全国都道府県平均の11・4%よりも0・5ポイント下回った。現在は、定数48のうち7人(14・6%)が女性で過去最多タイとなっている。ただ、政府が03年に数値目標に据えた「20年までに指導的地位に占める女性の割合を30%」にする「2030」と比較すると目標達成にはほど遠い。

 本紙の政党アンケートでは、政治分野への女性進出を促す具体的な方策について、自民を除く5政党が女性議員の候補者数や議席数をあらかじめ法で定める「クオータ制の導入」を選び、最多だった。昨年末に閣議決定された国の第5次男女共同参画基本計画では、25年に国政選挙の候補者の女性割合を35%にすることを掲げ、政党にクオータ制の導入などで女性比率を高めるよう要請している。

 具体的な取り組みについて、県政野党の自民党は「公募制を導入している選挙区の取り組みがある」と回答した。同県連は17年の那覇市議選で県内市町村議員選挙では初となる公募制を採用した。県議会では昨年6月の県議選で12年ぶりに女性議員が誕生した。

 一方、国政で連立を組む公明党は「党内に女性局を設置し、女性の視点を政策の大きな柱としている」とした。公明党は県内6政党で唯一、党内の女性比率について「適切」と回答しているが、県議会においては公明所属の女性議員は誕生していない。

 県政与党の社民党は「クオータ制」の導入を発表したばかりで、アンケートでは「女性の政治参画を推進するため各議会の候補者、全国大会代議員、各機関の役員に女性の一定比率を保障するよう努めている」と回答した。社民は前回県議選で女性議員が2人から1人となった。

 社大党は「党所属の女性県議を中心に女性候補者擁立と現職の女性議員との連携を図っている」と回答した。社大は92年から女性県議1人を維持している。共産党は「候補者男女均等法の見直しに向けたワーキングチームが立ち上がり、議論を重ねている」などと回答した。共産は前回の県議選で女性議員が1人から2人に増えた。

 立憲民主党は「旧立民時代に『パリテ・ナウ』(男女半々の議会)実現に向けた取り組みを行い、女性候補者擁立推進チームを設立した」と回答した。立民は昨年の県議選で女性候補を擁立し、初議席を獲得した。


 世界的にも遅れている日本の「ジェンダー平等」。玉城県政は女性が活躍できる社会の実現を掲げ、県庁内に「女性力・平和推進課」を設置しましたが、政治や行政分野で「女性の力」を発揮する環境が整わない現状があります。女性が直面する「壁」を検証します。報道へのご意見やご感想のメールは、seijibu@ryukyushimpo.co.jpまで。ファクスは098(865)5174。

 

 

【 特集 「女性力」の現実 政治と行政の今 過去記事はこちら】

伊是名夏子さんコラム「100センチの視界からーあまはいくまはいー」

「国際女性デー2021」関連記事