浦添市長選、現職の松本氏が3選  伊礼氏に1万票差 軍港移設に信任【動画付き】


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3期目の当選を決め、支持者らと万歳をする松本哲治氏=7日午後11時8分ごろ、浦添市伊祖の選対本部

 【浦添】任期満了に伴う浦添市長選は7日投開票され、現職の松本哲治氏(53)=自民、公明推薦=が3万3278票を獲得し、前市議の新人・伊礼悠記氏(38)=無所属=を1万775票差で退け、大差で3選を果たした。最大の争点だった米軍那覇軍港の浦添移設に関し、松本氏は8年前に移設反対、4年前に「浦添案」を公約に掲げたがいずれも撤回し、批判にさらされたが、2期8年の市政運営や政治姿勢について有権者から一定の信任を得る結果となった。 

 過去の市長選での最多得票数は前回の松本氏の3万733票で、今回の松本氏の得票は市長選が実施された1972年以降、最多を更新した。投票率は62・98%で、前回(61・37%)よりも1・6ポイント上がった。

 当選を決めた松本氏は「満点でなくても、もう1期頑張ってもらおうと有権者に判断していただいた。軍港移設については3者合意をベースに再協議する。知事が先行返還に言及するなど考えが分かりにくいので、しっかりと説明してもらう」と述べた。

 市長選では那覇軍港の浦添移設を巡る対応のほか、西海岸開発の在り方、新型コロナウイルス対策などが争点となった。

 松本氏は8年前に軍港移設反対を掲げて初当選したが、その後、翁長雄志前知事と城間幹子那覇市長が移設を認めていることを挙げ「公益を重視する」として受け入れを表明。代替案として掲げた浦添案も、国や県、那覇市、那覇港管理組合などが了解しなかったとして撤回し「県全体の利益のために苦渋の決断をした。市民に判断を仰ぐ」として、有権者に理解を求めていた。

 伊礼氏は松本氏の2度の公約撤回を批判し「市民の思いは軍港移設反対だ」として軍港移設の中止を公約したが、及ばなかった。

 松本氏は8年前、政党推薦を受けない「完全無所属の市民代表」を掲げ初当選した。今回は4年前の2期目に続き自民と公明の推薦を受けた。自公の支持層を固めたほか、無党派層への浸透も得票に結び付いた。

 浦添市の当日有権者数は8万9814人(男性4万2982人、女性4万6832人)。投票総数は5万6561。

 松本 哲治氏(まつもと・てつじ) 1967年10月生まれ、市宮城出身。米カリフォルニア大バークレー校修士課程修了。NPO法人代表を経て、2013年の市長選で初当選。