大学生が養鶏場経営の会社を起業 動物に優しい「平飼い」卵をオンライン販売 沖縄での経験生かし


この記事を書いた人 Avatar photo 田吹 遥子
平飼いを広めるため、学生起業し養鶏場経営を始めた宮崎将明さん=3日、うるま市与那城饒辺

 【うるま】横浜国立大学3年で、神奈川県出身の宮崎将明さん(21)=うるま市在住=がこのほど、養鶏場を経営したり他の養鶏場に経営ノウハウを伝えたりする会社「Egg Smart(エッグスマート)」を神奈川県で起業した。日本一若い養鶏場経営者は動物に優しい「平飼い」を実践することで、日本の養鶏業を変えたい考えだ。

 宮崎さんは2019年3月、うるま市の徳森養鶏場でインターンシップを経験した。当時の体験を基に考案したのが、養鶏場と飲食店をオンラインで結んで直販を促すサービス「Toritreat」(トリトリート)で、神奈川県主催のかながわ学生ビジネスプランコンテストで県知事賞を受けるほど評価された。

 このアイデアを生かし昨年7月に起業した。9月には再び沖縄へ。お世話になった徳森養鶏場から使っていない養鶏場を借り、鶏の平飼いを始めた。現在120羽を飼っている。

平飼いで育てられた鶏の卵

 宮崎さんによると、日本ではケージ(鳥かご)飼いが主流で、平飼いをする養鶏場は少ないという。一方で海外では、動物福祉の観点からケージを使わず飼育するケージフリーが進んでいる。起業理由について「日本でも平飼いという動物に優しい飼育法を広めたいと思ったから」と語る。平飼いされた鶏は人を怖がらず、人なつっこくなるという。取材中、宮崎さんの元へ鶏が何羽も寄ってくる場面も見られた。

 平飼いで採れた卵は少し値が張るが、栄養価が高いという。現在、徳森養鶏場の直売所カフェ「ゴールドコースト たまごや」で販売している。今月末には、インターネットの購入型クラウドファンディングというサービスを使い、「うるまの平飼い卵」としてオンライン販売を開始する。

 宮崎さんは「事業を通し、日本でも平飼いを広めたい。一人でも多くの人が買って良かったと思うような卵を販売したい」と意欲を見せた。 

(砂川博範)