沖縄差別の問題、全国で議論を 「新しい提案」実行委責任者・安里長従氏<辺野古県民投票から2年>


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 辺野古埋め立ての賛否を問う県民投票から24日で2年がたった。「辺野古」県民投票の会副代表を務め、現在、普天間移設問題を国民全体で議論するよう提案する「新しい提案」実行委員会責任者の安里長従氏は「政治は県民投票の結果を生かしていくべきだ」と指摘する。県民投票実現に至った経緯や現状について、話を聞いた。

辺野古の新基地建設などは「人権の問題であり、公正民主的な議論に立ち戻り、差別をやめようと求めていく必要がある」と語る安里長従氏=18日、那覇市の琉球新報社

 Q:2年を振り返り、何が変わって何が変わらないか。

 「50%以上の投票率で、沖縄の民意は辺野古の埋め立てというシングルイシュー(一つの争点)で『反対』が明らかになったのはとても大きい。また、県民投票を始める議論の中で沖縄の自民党がやむを得ず容認に転じたことも明らかになった。だが政党やオール沖縄の中で県民投票を総括し、生かそうという動きが見られない。自分たちが主導して始めた県民投票でなかったために消極的だったかもしれないが、市民が参加して市民がつくった運動について、政治はその趣旨をきちんと理解してほしい」

 Q:「新しい提案」として県議会へ意見書採択を求める陳情をし、昨年9月には県議会に全国自治体議会宛てに同様の決議書採択を求める陳情をした。県議会の動きをどう見るか。

 「党派や安全保障の考え方が、公正で民主的な解決を目指すことよりも優先してしまう。政局の争いに終始すると、県民との温度差が広がり、政治に対する期待がどんどん冷めていく状況を作り出す。歯を食いしばって声を上げている人たちに対して政治が応え切れていない。辺野古を止めるために何が必要か、ちゃんと向き合ってほしい」

 Q:何を訴えていくか。

 「沖縄の民意を示し、公正で民主的な解決を全国に求めるというのは沖縄の声だと思う。(新基地は)軍事的に沖縄でなくてもいいが、本土の理解が得られないので沖縄に、という不合理な区分は差別だ。まず差別をやめて、安全保障の問題を含め普天間飛行場の県外・国外移転を全国で議論し、最終的に国会で議論する」

 「弱い地域に一方的に押し付けるのでなく、公正で民主的な解決を求めるというコンセンサスで国に意見すれば『辺野古が唯一』は瓦解(がかい)する。差別をやめること、公正で民主的な解決を求めることに立ち返るべきだ。これは人権の問題だと再確認する機会にしたい」
 (聞き手・座波幸代)