沖縄振興開発金融公庫(川上好久理事長)は25日、複数の企業と協調して、人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)の技術を活用した研究開発や、サービスの提供に取り組むLiLz(リルズ、宜野湾市、大西敬吾代表)に出資したと発表した。複数企業による増資総額は2億5千万円で、そのうち沖縄公庫は5500万円を出資した。
リルズは、ビルや工場など大型施設で利用される計器類を監視できる「IoTカメラ」を開発。設定した時間で画像を撮影し、インターネット上のクラウドサーバーに自動送信することで、離れた場所から計器の異常などを監視できるシステムを提供している。カメラは全天候型で、1日3回の撮影で3年連続稼働できる低消費電力設計となっており、点検現場の作業省力化に役立つことが期待されている。
導入コストやランニングコストが安価なことも出資に当たって評価され、通信サービスやデータの蓄積などは1台につき月額1600円から利用できる。
同システムはアジア最大級のIT展示会「CEATEC(シーテック)2019」で、トータルソリューション部門のグランプリにも輝いた。
沖縄公庫新事業育成出資室の岸本剛室長は「市場ニーズを捉えた技術開発を行っている。販路開拓などの体制構築も検討しており、さらなる成長が期待できる」と出資を決めた理由を説明した。
設備の点検など「予知保全」の世界的な市場は2026年までに2・3兆円になると見込まれ、リルズは25年までに売上高60億円を目指している。大西社長は資金調達の目的について「事業開発や顧客サポートなど支援体制の充実や新機種開発の費用としていきたい」と語った。