防災計画、女性への配慮「ない」15市町村 地方防災会議に「女性ゼロ」も6町村 本紙県内市町村調査<国際女性デー>


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 災害時に女性に配慮した防災計画の有無について、本紙が県内41市町村にアンケートをしたところ「ある」と答えた市町村は26、「ない」は15だった。

 各自治体が防災計画策定のために設置する地方防災会議のメンバーに「女性がゼロ」の町村は6、「1人しかいない」は10町村だった。最も女性比率が高かったのは浦添市で19・4%だった。国が2020年の目標としていた女性委員の比率30%には、どの市町村も届いていない。災害対策に女性の視点を反映する体制が、不十分なことが明らかになった。

 東日本大震災では、避難所で着替えや授乳場所がない、女性にばかり食事作りの役割を担わされる、性暴力被害が増えるなどの問題が発生した。

 災害時に女性の視点を取り入れるため女性委員の増加が求められているが、全国的に進んでいない。2020年版防災白書によると、地方防災会議の女性委員の比率は全国でも16%、沖縄県は13%、全国市町村は8・7%、県内市町村は9・0%にとどまる。

 避難所で女性に特化した配慮として、各市町村が挙げたのは「生理用品の備蓄」で22、更衣室・授乳室、間仕切りなどでのプライバシー確保は16、女性トイレの増設・確保が8だった。
 防災会議があるとした市町村は33で、ないとした市町村は8だった。今帰仁村や金武町などは、委員の任期満了で現在はないと答えた。防災会議の女性の比率が高いのは浦添市に続き、沖縄市18・4%、伊是名村17・6%、宜野湾市16・7%となっている。
 防災会議を今は設置していなかったり、女性委員がゼロだったりしても、生理用品の備蓄、テントやパーティションなどでプライバシー確保の準備があるとする市町村もあった。

 防災会議の構成メンバーは県や警察署、市の部長や消防団長、自治会長など各種団体の代表者や管理職といった役職者が任命されることが多い。その役職に就いている女性が少ないことから、女性の割合が低くなっている。他県では役職にこだわらず、防災対応力を備えた実務者を委員に選任する地域もある。条例改正で委員の定員を増やし、女性登用を目指す自治体もある。

 国は女性委員を増やすため、2012年に災害対策基本法を改正した。住民の自主防災組織のメンバーや学識経験者も委員になれるようにしている。15年に決定した第4次男女共同参画基本計画で、20年までに女性比率30%の目標を掲げたが成果は出ず、20年12月に閣議決定した第5次計画で、目標達成期限を25年に延長した。
 アンケートは2月15~18日にかけて県内全市町村の防災担当部署にファクスで質問を送り、回答を得た。

(知花亜美)

【関連ニュース】

アンケート回答一覧はこちら>着替えや授乳どこで…震災の教訓生かされず