東日本大震災から11日で10年を迎える。当時、避難所で女性が着替える場所がなく、授乳やトイレにも課題が残った。本紙の市町村アンケートでは、県内でその教訓が生かされているとは言いがたい現状が明らかになった。
「生理用品の備蓄」以外に、女性が相談しやすい仕組みづくりに取り組む市もあれば、企業と災害協定を結び緊急時に備える市町村もある。識者は「(防災計画の)意思決定の場に女性が必要」と指摘する。
県内41市町村に実施したアンケートで、女性に配慮した計画がないとした市町村が15と全体の36・6%を占めた。女性に配慮した計画があるとした市町村でも、多くが「生理用品の備蓄」だった。
宜野湾市は「女性の避難所運営管理者を配置」と答えた。女性の運営管理者は最初の1週間は市役所職員を想定しているが、長期化する場合は避難してきた人たちの自主運営が望ましいとしている。市の担当者は「避難所内で掃除班、食料班などをつくってもらい、その中からリーダーを選んでもらうことなどを検討している」と話した。
同市は生理用品の備蓄はしていないという。担当者によると「災害時の優先供給協定」を市内の複数のスーパーと結んでおり、災害時は生理用品、タオル・肌着などの生活物資や飲料水などが提供されることを想定している。
那覇市は女性用の物資の受け渡しや、女性が相談できる場づくりの環境を整備するとしている。授乳や着替えができる個別テントを用意しているのは浦添市、北谷町、与那原町、久米島町だった。
11市に防災担当職員の性別を聞いたところ、浦添、宜野湾、名護、糸満、沖縄、豊見城、石垣の7市は女性職員がいなかった。女性がいるとした市でも1~2人がほとんどだった。地域防災会議の女性比率が、国が目標とする30%に達する市町村がゼロということが課題となる中で、防災担当の部署に女性職員が少ないことから、女性視点の計画が反映しづらい状況となっている。
災害時は女性や子どもに対する性犯罪が多発する傾向にあることから、内閣府は避難所運営ガイドラインで消防団など地域の見守り体制や相談体制の強化を示している。那覇市、東村、沖縄市は「巡回警備による安全確保」も計画に上げた。
(知花亜美)
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