太陽光発電で復興支援 アトムホームが福島に施設建設計画 売電益の還元目指す


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福島県浪江町の帰還困難区域に3万7千キロワットの太陽光発電施設建設を計画するアトムホームの宮平克哉CEO=9日、宜野湾市

 太陽光発電システムの販売を手掛けるアトムホーム(宜野湾市、宮平克哉CEO)は、2011年の東京電力福島第1原発事故により、帰還困難区域となっている福島県浪江町の津島地区に、大規模太陽光発電施設を建設する計画を進めている。宮平氏は「地権者や地元に利益を還元することで、復興の一端を担いたい」と話す。

 計画では、津島地区の農地約49万平方メートルに、太陽光発電パネル約11万5千枚の設置を見込んでいる。発電容量は約3万7千キロワットで、アトムホームによると一般家庭約1万2千世帯分に相当する電力を発電できる。投資総額は63億円を見込む。事業期間は20年程度を予定している。

 アトムホームや福島県内の企業が出資し、発電事業を運営する合資会社を作る。年間5~6億円の売電を予定している。収益から地権者に対して賃貸料を払うほか、一部を浪江町の復興を目的として積み立て、地元に利益を還元できる仕組みを目指している。

 現在、地権者に計画を提案して賛同を募っている段階で、並行して浪江町と協議している。農地転用についても話し合っているという。21年中に、地権者や浪江町などを含めた協議会を立ち上げた後、東京電力と売電について交渉していく予定。

 アトムホームは沖縄県内で太陽光発電システムの販売などを手掛けてきたノウハウを生かし、津島地区の発電施設が軌道に乗れば他にも福島県内に2カ所の建設を検討している。宮平氏は「地主には、当分の間、農作物を作っても風評被害で売れないという不安がある。土地を有効活用して再生可能エネルギーを増やすと同時に、復興に向けて地域に利益を還元していく」と話した。