2011年の東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の発生10年に合わせ、琉球新報「りゅうちゃんねる取材班」など読者参加型の報道に取り組む全国の地方紙は、連携してエネルギー政策と原発に関するアンケートを実施した。全国の約6200人が回答。今後の原発政策について、運転開始から40年超の稼働は控えるなど、脱原発を望む回答が82・3%に達した一方、運転延長や増設、建て替えといった「原発容認」は14・9%にとどまった。
協働企画「#311jp」の一環。年代や男女比などを考慮した一般の世論調査とは異なる。
原発政策についての回答として、「運転延長は控え、基数を減らしながら活用」「積極的に廃炉とし、脱原発を急ぐべきだ」「すぐにでも廃炉に」の各項目を合わせた「脱原発」の意見が82・3%に上った。
福島原発事故からの10年間で、原発に対する考え方の変化も尋ねた。「今も変わらず反対」が最多の44・8%。次が「賛成でも反対でもなかったが、反対に傾いている」(13・9%)。「賛成だったが、一定程度縮小しても良い」(12・3%)、「賛成だったが、今は反対だ」(10・2%)と続き、脱原発を望む層が増えてきた傾向がうかがえる。
事故発生の11年3月時点で国内の原発は17原発54基。老朽化もありこのうち21基の廃炉が決まり、再稼働したのは9基にとどまる。
原子力規制委員会の審査を終えた原発再稼働の同意・了解について尋ねると「立地自治体に加え、周辺自治体も加えるべきだ」が86・1%で、幅広い合意形成を望む意見が大勢を占めた。原発事故時の避難計画の実効性確保についても「難しい」「どちらかと言えば難しい」が合わせて57・5%の一方、「可能」「どちらかと言えば可能」は合計18・2%にとどまった。
菅義偉首相は「温室効果ガス排出量を2050年までに実質ゼロにする」と目標を掲げ、電源構成などを定める国のエネルギー基本計画の議論も始まった。それに関連し、再生可能エネルギーの普及については「期待する」「ある程度期待する」が合わせて84・9%に及んだ。さらに、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの削減手法として複数回答で聞いたところ、「洋上風力など再エネ拡大」(73・2%)、「電気自動車(EV)など需要面の変革」(48・7%)、「液化天然ガス(LNG)などCO2排出量が少ない火力の活用」(39・4%)と続いた。
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アンケートは本紙など地方紙14紙が紙面や無料通信アプリ「LINE」などを使って2月8~17日に呼び掛け、47都道府県の6248人が回答した。このうち沖縄県内は9人。平均的な回答時間は約22分だった。