沖縄県庁の災害時電源整備に遅れ、72時間稼働できず、全国唯一に


社会
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沖縄県庁(資料写真)

 都道府県の災害対策本部が置かれる庁舎内に、外部からの供給なく72時間以上稼働できる非常用電源を設置していない都道府県が、本年度内に沖縄県のみとなる見通しであることが13日までに分かった。国は災害対応のため、地方自治体に72時間以上稼働できる非常用電源の確保を求めている。県は電源の稼働時間延長などを目指し、2021年度予算案に防災危機管理センター棟(仮称)の整備費を盛り込んだが、供用開始は25年度となる見込みだ。

 消防庁は2月、災害対策本部が設置される地方自治体庁舎の非常用電源について、20年6月現在の状況を公表した。国は自治体に対し「72時間は、外部からの供給なしで非常用電源を稼働可能とする措置が望ましい」としている。調査結果によると、沖縄、福岡の両県と更新工事中の富山県を除く44都道府県がこの水準を満たしていた。

 このうち富山県と福岡県は、琉球新報の取材に対し、現在、施設工事中で本年度内に国が求める水準を達成する見込みであると答えた。

 一方、沖縄県の場合、発電用燃料の貯蔵量上限が48時間分となっている。このため3月末で、沖縄県は全国で唯一、国が求める水準に満たない都道府県となる見通しだ。

 消防庁によると、災害発生時には、被災者の生存率が著しく下がるとされる「発生から72時間」以内の救助が求められている。被災自治体が孤立した場合でも、72時間ほどの時間があれば、外部からの支援が届くようになるとされていることなどが、最低でも72時間の発電が必要とされる理由だ。 (西銘研志郎)