「大きな力になる」。同性婚を認めないのは違憲とした17日の札幌地裁の判決を受け、沖縄県内の当事者や識者は喜びの声を上げ、同性婚の早期実現を求めた。
自身もゲイで、ピンクドット沖縄・名誉顧問の南定四郎さん(89)=うるま市=は、LGBTなど性的少数者の社会運動をリードしてきた。「大変いいことだ。違憲とはっきりした判断が出たことは、今後われわれが同性婚の実現に向け動く中で、非常に大きな力になる」と評価した。
本紙は昨年、県内の不動産業者が賃貸物件の契約に関する「同意書」に「LGBTの方は原則お断り」と明記し、性的少数者らの入居を拒否していた問題を報じた。南さんはこの報道を挙げ「差別は決して、なくなっていない」と現状を指摘した。法的に同性結婚ができる社会の実現を訴え、「『同性婚は認められないことが当たり前』と壁の前で二の足を踏むのではなく、積極的に自分たちの考えを主張し続けることが大切だ」と力強く語った。
ジェンダー法に詳しい琉球大学法科大学院の矢野恵美教授は「日本中の同性愛者と支援者にとって希望になる。画期的な判決だ」と評価した。
同性婚を含む婚姻の平等を国が認めない中、全国の自治体は、法的権利はないものの、性的少数者のカップルを公認しようとパートナーシップ制度を導入してきた。県内では2016年に那覇市が導入した。動きはすぐには広がらなかったが、来週にも浦添市でパートナーシップ制度導入などを盛り込んだ条例が可決される見通しだ。
矢野教授は、今回の判決が各地のパートナーシップ制度導入の意義が認められたことになると指摘した。「浦添市はもちろん、県を含め、多くの自治体にも後押しになるのでは」と期待した。
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