「大きな一歩」LGBTQ当事者ら喜びと期待 県内初の「性の多様性条例」成立に


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浦添市役所(資料写真)

 【浦添】「大きな一歩だ」「人権を認められてうれしい」―。浦添市で「性の多様性を尊重する社会を実現するための条例」が成立した23日、LGBTQなど市内の性的マイノリティーの人たちから喜びの声が上がった。性的マイノリティーのカップルを自治体が公認する「パートナーシップ制度」などを盛り込んだ、県内初の条例。近隣自治体のLGBTQも「県内全体に広がってほしい」と期待を寄せた。

 市内のレズビアンの女性(31)は条例可決のニュースに「元気をもらった。私たちはないがしろにされてはいないんだ」と声を弾ませた。12年間交際している彼女がいる。パートナーシップ証明は「必要ない」と思っていたが、地元で申請できることになる。「人生はいつどうなるか分からない」と、今は申請に前向きだ。

 職場では「男を知らないだけだ」などと言われ、傷ついた過去がある。知らないところで自身の性的指向が暴露されていないか、今も不安はある。条例はそれらの行為(アウティング)を禁じ、事業所に「性の多様性に配慮した職場環境の整備」を求めている。女性は「条例を機に、性の多様性に関する理解が広がってほしい」と願う。

 出生時の性は女性で、自認は男性のトランスジェンダー、ブライアント・レイさん(35)=浦添市=も、かつて職場で「男には見えない」と言われた。「性の多様性とは何か。考えるきっかけをつくってくれた」と条例成立を歓迎した。

 隣の宜野湾市に住むゲイの男性(31)は「差別的扱いはだめだと、市が示した意味は大きい」と強調。「パートナーシップ制度を含め、他の市町村にも広がってほしい」と話した。

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