【浦添】浦添市議会(護得久朝文議長)は23日の3月定例会最終本会議で、性的マイノリティーのカップルを自治体が公認する「パートナーシップ制度」の導入やカミングアウト強要の禁止などを盛り込んだ「性の多様性を尊重する社会を実現するための条例」案を全会一致で可決した。性の多様性に特化した条例制定は県内初で、パートナーシップ制度の導入は県内2例目。10月1日に施行される。
条例は前文のほか、全13条で構成。前文は「人には多様な性の形があり、誰もが自分らしく生きていく権利がある」「理解し、互いに尊重することで、偏見および差別的取り扱いがなく、人権が守られた平和で豊かな社会へつながっていく」などとうたっている。
条文は、性的マイノリティーであることを理由とする差別的扱いやハラスメントを禁じたほか、性的指向や性自認を本人の許可なく公にする行為(アウティング)、カミングアウトの強要なども禁じている。事業者に対しては、性の多様性に配慮した職場環境の整備に努めるよう求めている。罰則は設けていない。
パートナーシップ制度の導入は、2016年の那覇市に続いて県内2例目。浦添市は市営住宅の入居対象者の見直しなどを検討しており、詳細は今後、規則で定める。
23日の市議会では、採決の前に濱崎早人議員と銘苅良二議員が退席した。討論や質疑はなく、全会一致で可決した。
この条例は昨年3月の定例会で提案される予定だったが、「時期尚早」として提案が見送られた経緯がある。条例可決後、松本哲治市長は本紙の取材に「多様性社会の実現へ一歩前進した。条例に無関心な人や勘違いしている人もいるので、施行までの間、広報に努めたい」と話した。
【関連ニュース】
▼「大きな一歩」LGBTQ当事者ら喜びと期待 県内初の「性の多様性条例」成立
▼同性婚の早期実現へ「大きな力に」 違憲判決に沖縄から歓迎の声
▼ゲイカップルだけど戸籍は男女…2人が望む「結婚」<レイとユージの物語>