「海兵隊撤退」方針を転換、段階的整理・縮小へ 復帰50年に向けた沖縄県の政府要請


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米軍普天間飛行場

 沖縄県は25日までに、沖縄の日本復帰50年に向けた米軍基地に関する政府要請について、「在沖海兵隊の撤退」を盛り込む方針を転換し、「在沖海兵隊の段階的な整理・縮小など」という表現を検討している。基地従業員や地権者の不安に配慮したことが背景にある。金城賢知事公室長は25日の米軍基地関係特別委員会で要請案を説明し、要請時期については「年度明けの適切な時期を検討していきたい」と述べた。

 県は「当面は在日米軍専用施設面積の50%以下を目指す」という、数値目標の設定を政府に求める予定だ。与党から「50%」の根拠があいまいだという追及を受け、いったん「海兵隊撤退を含め」と付け加えた案を提示した。初めて玉城デニー知事が海兵隊撤退に踏み込むかと思われていた。

 関係者によると、基地従業員らから雇用確保に不安の声が上がり、「段階的な整理・縮小など」という表現に変えた。25日の委員会で金城賢知事公室長は「基地従業員9千人には、雇用確保について懸念がある」と説明した。

 委員会では、野党からも50%の根拠について質疑が集中した。小渡良太郎氏(沖縄・自民)は「県土をつくっていく観点からすると無責任だ。細切れで跡地利用もできない場所を返還されたらどうするのか」と指摘した。仲村家治氏(同)は大田県政時代に県が作った基地返還アクション・プログラムに触れ、「当時、素晴らしいと思った。今回の要請後でも、時間をかけて具体的な計画を県として作るべきではないか」と語った。

 金城知事公室長は「過重な基地負担の現状と基地従業員の雇用確保を踏まえつつ、日米両政府に計画を作っていただく。その過程で県も特に返還が求められる施設などを協議の場で示していきたい」と語った。

 県側は沖縄防衛局の情報として、日本とその周辺にある米軍の訓練水域7万7千平方キロメートル(46カ所)のうち、71%に当たる5万5千平方キロメートル(27カ所)が沖縄とその周辺に設定されていると説明した。