発達障がいの「あるある」語る 「反応を面白がったら半分は解決」 オンラインでゆんたくサロン


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 本紙連載の漫画「ひなとかのんのおひさま日記」作者の森山和泉さんと福祉のプロたちが一般参加者と子育ての泣き笑いを語り合う「凸凹ゆんたくサロン」(凸凹ゆんたくサロン、琉球新報社共催)は2月27日、「発達障がい『あるある』大辞典~ほんとにそれでいいのの巻」をオンラインで開いた。周囲を驚かせ「宇宙人」とも言われる行動について、不登校や引きこもりの若者支援を続けるNPO「はじめました。」の坂本将吏さん、放課後等デイサービスIMUA(沖縄市)の山城健児さんと、参加者のコメントも紹介しながらゆんたくした。

 企画を担当する琉球新報の黒田華記者が、小学生の娘がきれいに包んで準備していたバレンタインデーのチョコレートを、中学生の息子が「特別なものと気づかなかった」と食べてしまった“事件”で口火を切った。

「諦め、面白がれば楽になれる」と「あるある」を乗り切るこつを話す森山和泉さん

 親の心配をよそに2人があっさり和解したとのエピソードに、森山さんは「まさに“あるある”」と笑う。「子どもには大人と違う世界観がある。親は解決策を考えるよりも『こういうものだ』と諦めることで楽になれる」とし「次はどんな反応をするかと面白がり、それをネタに誰かに話せたら半分くらいは解決する」と経験を語った。

 子どもの行動に腹が立ってしまう親に、森山さんは「親だって人間。感情を出していい」。成長した娘たちに「何があっても『あなたらしくていいのよ』とほほ笑むようなお母さんはうそくさい」と言われて救われたことを紹介した。

体へアプローチすることで、子どもへ自信をつけることができると語る山城健児さん

 山城さんは発達障がいがあると不器用な子が多いことに着目する。神経の発達や体を動かす仕組みを踏まえた簡単な運動を10分ほどするだけで、苦手だった動きができるようになった事例を紹介。「子どもは『できた』と自信を持てる。禁止や指示で子どもの行動をコントロールするのではなく、体の面でできることが増えると情緒の安定につながる」とし、子どもがしたいことやできることを伸ばす大切さを強調した。

 山城さんは、おにぎりの具として味の濃いスナック菓子を提案したという子どもを紹介し「驚いたがやってみたらおいしかった。こちらもそのくらい頭を柔らかくすると、子どもたちから可能性をもらうことができる」とした。

子どもたちと「遊んで泣いて笑って」過ごすことの大切さを語る坂本将吏さん

 森山さんは、人間は心と体のほかに、周囲の人と共鳴し合って生まれる「エネルギー」が大切な構成要素になっているとの考えを紹介。

 坂本さんは、高校中退するなどした10代を対象にしたキャリア形成事業で、キャンプや職場体験などの活動を「一緒に遊んで泣いて笑って」取り組んだ。若者たちは坂本さんら大人との出会いを喜び、大きく成長したという。「僕らが心を開き、一緒に真剣に取り組むことがエネルギーになると感じる」と話した。

 参加者はチャットで意見や感想、疑問を送り、その声を取り入れながら「ゆんたく」は進行した。参加者らは「自分の悩みを話せてよかった」「そうそう!とうなずいたり笑えたりして、ほっとした」などと感想を寄せた。

次回は「季節変わりの“あるある大辞典”の巻」を4月3日午後7時半から開く。申し込みは2日までにこちらから。 問い合わせはメールdekobokoyuntaku@gmail.com