繰り返される時短要請「またか」飲食店ため息 協力金4万円「すずめの涙」「今は頼るしか・・・」


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閑散とする南城市内の居酒屋。店主は「通常営業してもお客さんは少ない」と漏らした=29日夕、南城市内

 新型コロナウイルス感染拡大に歯止めがかからず、県は29日、本島20市町村の飲食店などに対し、4月1日からの営業時間短縮を要請することを決めた。2月28日に県全域への時短要請が解除され、わずか1カ月。この1年、時短要請が感染防止に一定の効果を発揮するも、解除後に再拡大する局面が繰り返された。時短に応じた店舗に一律に支給される1日当たり4万円の協力金についても、経営者の受け止めは一様ではない。

 那覇市の国際通りでは3月に入って観光客の姿が多く見られるようになり、にぎわいを取り戻しつつある。「せっかく増えてきたのに、またか」。復帰前から約50年、居酒屋を経営する男性店主(73)は再度の要請に肩を落とす。
 客層の多くを占める観光客が昨春から激減し、金融機関の融資などで何とか経営をつないできた。男性は「この1年で資金は全て使い果たした。協力金4万円では、すずめの涙で何の足しにもならないが、3週間何とかやっていくしかない」と語った。

 南城市で居酒屋を経営する男性(52)は29日夕、テレビで時短要請の対象地域を何度も確認していた。「今は協力金がないと厳しい。南城市が対象になり、正直ほっとした」。経営する居酒屋の客席は100人程度あり、男性は「通常通り営業しても、お客さんはコロナを恐れ来てくれない。従業員の給料と家賃を抱える身として、今は協力金に頼るしかない」と吐露した。

 一方、時短協力金の支給対象ではない、日中営業の飲食店からは不満がこぼれる。宜野湾市で50代女性が日中に営む飲食店の近隣には、営業実態がないのに、協力金を得るため「営業時短」を知らせる張り紙を掲示する店舗があるという。女性は「協力金バブルだ。税金の使われ方として正しいのか、県は支給店舗を公表してほしい」と疑問を投げ掛けた。

 名護市以北の本島北部は今回、時短要請の対象に含まれなかった。名護市では2月下旬から感染者数が落ち着いており、名護社交飲食業組合の渡久地等組合長は「ようやく客足が戻ったところだった」と語り、対象外となったことに胸をなで下ろした。名護市は昨年末、感染が拡大するも時短要請の対象に入らず、県への要請を経て対象に加えられた経緯がある。渡久地組合長は「市内で感染が再拡大したら同様の対応も必要になる。気を抜かず、感染対策の継続を呼び掛けていく」と力を込めた。

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