組踊「微行の巻」より鮫川の按司
唱え(組踊のせりふ)にたけ、男役から女役まで幅広く演じ分ける。
父・二代目親泊興照の唱えを子守歌代わりに育つ。芸術全般に興味を持ち、19歳のとき知見を深めるため米国に留学。ジャズの町ニューオリンズで、地元の子どものジャズ演奏を聞き、演奏の内に、彼らの魂に宿る歴史や思いに触れ「音楽が血から湧き出ている」と感じた。出会いは、自身に宿る「沖縄」と再び向き合うきっかけになった。
「家にいるときはずっと唱えの練習をしていた」という父の背中を追うように、自身も自宅で唱えの研さんに励む。少しでも気を抜けば「隣室で聞いている父から、至らぬ点を指摘される」と冗談めかす。
現在の唱えは抑揚が失われつつある、と危惧する。初代興照から父、自身へと口伝で受け継がれる唱えの継承に力を尽くす。