「想像してみてください」沖尚生が広島の高校生に伝えた沖縄戦 白梅学徒の足跡をガイド


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広島女学院高校の生徒(左)に白梅学徒がたどった足跡を伝える沖縄尚学高校地域研究部の生徒=16日、糸満市真栄里の白梅之塔

 「皆さん想像してみてください。わずか10代の女子たちが、寝る間もなく過酷な環境の中、1日中働かさせられていたことを」
 沖縄尚学高校地域研究部は3月16日、修学旅行で訪れた県外の高校生に沖縄戦で看護要員として動員された白梅学徒がたどった足跡を案内した。

 同校地域研究部は白梅同窓会と交流を重ね、17年前からフィールドワークをし、元学徒から当時の状況の聞き取り、資料を学び平和ガイドにも挑戦している。
 地域研究部の15人が広島から来た広島女学院高校の生徒23人を案内。八重瀬町の八重瀬岳にある「手術場壕」やヌヌマチガマ、糸満市の白梅之塔を訪れた。部員たちは沖縄戦の概要や白梅学徒の任務などを説明した。広島の生徒は真剣な表情で耳を傾けていた。

 白梅之塔では1分間の黙とうをした後、病棟として使用された「下の壕」に入り、壕内の様子を体感した。
 両校の意見交換の場で、広島の生徒からは「広島、沖縄、長崎の高校生と、それ以外の地域の高校生たちに平和教育を受ける機会の差が大きいと感じる。日本全国の高校生が均等に平和について学ぶ必要がある」と話し、沖尚の生徒からは「自分たちも他県の戦争について知らない部分が多い。交流しながら知識を深めていきたい」と伝えた。

 広島女学院高校では沖縄を訪れる直前の10日に、オンラインで元白梅学徒の中山きくさんから話を聞いていた。同校の市村知彩都(ちさと)さん(17)は「きくさんの話を聞いた後、実際現地に行くことで、より沖縄戦を深く知ることができた」と話す。また、ガイドをした沖尚の生徒については「同世代なのに沖縄戦のことを詳細に調べていて、分かりやすく説明してくれた。自分たちも広島に生まれた身として原爆のことをもっと調べて、多くの人に伝えたい」と語った。

 沖尚地域研究部所属の比嘉華鈴さん(17)は「自分の言葉で沖縄戦をどのように伝えていくか、実践して改めて考えるきっかけになった。今後も沖縄戦や白梅学徒の記憶をつなぐため、継承に努めていきたい」と抱負を述べた。

(金城実倫)