空自のずさんな危機対応浮き彫りに 発表訂正に1カ月超 PFOS含有


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 航空自衛隊那覇基地から泡消火剤が流出した問題で、空自は当初、事実に反してPFOSが含まれていないと事実上の「安全宣言」をしていた。それにもかかわらず事故から1カ月以上たってから発表を訂正した。琉球新報の報道がなければ、誤った説明を垂れ流したままだった可能性が高い。今回の調査でも、手順に不手際があった。流出時の判断を含め、化学物質の扱いや汚染に対処する知見の欠如も露呈している。

 調査によると、採水用のポンプを洗わずに使い回した可能性があるという。消火剤と混ぜる前の水を調べるはずだったが、別で採取した成分が混ざったかもしれず、再度分析することになった。

 本紙は7日午前、調査結果の公表時期を尋ねたが那覇基地は「検討中」として明示しなかった。公表する際には会見など質問を受け付ける場を設けるよう申し入れていた。だが那覇基地は午後2時ごろに調査結果を公表し、会見は開かなかった。理由については「いつも通り電話で対応したい」と述べるにとどめた。

 那覇基地によると、県や那覇、豊見城の両市、周辺の自治会、泡が飛散した施設に7日、調査でPFOSの検出を伝えたが、直接の謝罪はしていないという。今回の調査で非PFOS薬剤への交換時に配管を洗っていなかったことが判明したが、那覇基地は「消火装置工業会のマニュアルに基づいて交換しており、作業自体に問題はなかった」と正当化した。

 航空幕僚長が再発防止への決意を述べたが、十分に責任と向き合わない姿勢で再発防止が図れるのか。自衛隊は軍事に関わり、消火剤以上に危険な物質や装備を扱っている。一事が万事だ。危機対応がずさんでは住民を守れず、地域からの信頼は得られない。 (明真南斗)

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