「観光へ影響大きい」事業者に激震…大型連休の客減に危機感 沖縄「まん防」適用


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 新型コロナウイルス感染拡大を受けた「まん延防止等重点措置」が沖縄県にも適用される見通しとなったことで、県内の事業者らに激震が走った。適用された場合、期間は5月5日までと見込まれ、大型連休の観光需要が一気に消失する可能性もある。玉城デニー知事は重点措置の適用に慎重な姿勢を示してきたが、一転して政府に要請する方針を固め、県として9日に経済界からの意見聴取を行う。

 沖縄観光コンベンションビューローの下地芳郎会長は、観光業界が求める経済支援の要請に、県の施策が十分に応えられていないと指摘した上で、「まん延防止措置が出るとなれば観光への影響は極めて大きい。飲食業だけでなく、その他の業界への支援を明確に打ち出していく必要がある」と語った。その上で、「優先すべきは県民の行動変容だ。市町村も交えて、地域住民により近いところで注意喚起する必要がある」と対策の強化を求めた。

 県レンタカー協会の白石武博会長は「病床や隔離施設の拡大の準備もせずに、急にブレーキを踏まれると困る」と述べ、まん延防止措置を要請する方針へと急転した県に対し、不満を漏らした。

 昨年は大型連休や夏の繁忙期に感染が拡大し、今年も沖縄観光の書き入れ時に経済活動の自粛が重なる事態が現実味を帯びている。白石会長は「レンタカー業界は昨年1年間で、かなりの減車をせざるを得なかった。観光客が戻ってきても、受け入れる機能は毀損(きそん)している」と厳しい現状認識を示した。

 県内の観光施設事業者でつくる、美ら島観光施設協会の内田晴長会長は、急転直下の展開に、驚きを隠さなかった。「感染者が増えているが、観光業界全体としてゴールデンウイークまでは営業を継続したいという気持ちが強かった。措置の中身が見えていないので評価はできないが、観光にとってはマイナスイメージとなる」と肩を落とした。