1人1冊守られず…ハピ・トク沖縄クーポン売り切れ 「不公平」の声


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
「ハピ・トク沖縄クーポン」の売り切れを伝える張り紙=那覇市内

 新型コロナウイルスによって打撃を受けている県内事業者の支援策として、県が20%のプレミアム(割増金)を付けて販売する地域共通券「ハピ・トク沖縄クーポン」は、4月1日に始まった第2弾の売り切れが続出している。大型スーパーやコンビニエンスストアでも支払いに使えるなど認知が広がる中で、県は購入を1人1冊までと制限しているが、店舗を回って複数の券を買い集めている人もいると指摘される。利用者から「不公平だ」との声も上がっている。

 同クーポンは、昨年12月末に第1弾が始まった。当初は販売が伸び悩んだが、利用可能店舗が増え、幅広い商品やサービスに使えることなどから普及した。4月から始まった第2弾では、紙券は1冊1万円で購入でき、1万2千円分の買い物に使える。

 第1弾の30%上乗せに比べて割増率は低くなったが、第2弾から新たに県内の大手スーパー、コンビニが対象店舗になるなど、クーポンを使える範囲が広がった。

 県は、第1弾で1日に最大約5千冊が販売されたことから、第2弾は1日約1万冊の販売を見越して、発売開始に当たって9万冊を準備した。しかし、発売後、1日に2万冊以上という予想を超える売れ行きとなった。販売窓口の沖縄ファミリーマートによると、4日時点で本島中南部を中心に約半数の店舗で売り切れたという。

 県は4月中旬ごろに配送を予定していた16万冊について、印刷が完了したものから予定を前倒しして各店舗に配る。8日に4万冊を配送した。購入希望者が探し回らずに済むように、公式ホームページで在庫のあるファミリーマート店舗の公表を始めた。

 一方で、紙券は1人1冊という購入制限があるにもかかわらず、複数を購入している人の存在も指摘されている。県によると、店頭などで1人1冊までと周知をしているが、複数店舗を回って購入する場合には防ぐ手だてがないのが現状という。

 県の担当者は、マイナンバーを使った購入者のひも付けや、全面的に電子クーポン化する方法など、購入制限対策を事前に検討したとした上で、「システムの構築に時間がかかり、迅速な支援ができない。スマホを使い慣れていない高齢者に対して不公平になりかねないこともあって、見送った」と説明する。

 プレミアム券販売の狙いが、消費喚起による事業者の経営支援にあることから、より早く支援することを重視した形だ。複数冊の買い占めに対しては、「県民のモラルに頼るしかない部分がある」と話す。

 那覇市の30代女性は、複数店舗を回ってようやく1冊を購入した。「税金でやっているはずなのに、買い占めができてしまう仕組みは不公平感を覚える」と話した。

▼「沖縄の1000円以内の宿」クーポン活用しブログで紹介 目指すは100泊

▼4月から「ハピ・トク」クーポン第2弾 20%お得

▼スマホで交通チケット「MaaS」沖縄全域に拡大 離島も追加、経路検索導入

▼30分で完売も おきなわ彩発見第3弾 「県民の外出意欲高まっている」

▼「バーチャル国際通り」目指すは来客100万人 ライブやイベント、買い物も