【記者解説】「辺野古は高い」日米両政府の説明と食い違い 「危険性除去」一方で機能追加


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埋め立てや護岸工事が進められる新基地建設現場=2020年9月3日午後、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ沿岸(小型無人機で撮影)

 米軍が1980年に作成した米軍普天間飛行場のマスタープランからは、60年代の海兵隊飛行場建設計画を費用の問題で断念していた経緯が読み取れる。日米両政府は95年の少女乱暴事件で高まった県民の返還要求に応じ、普天間飛行場の危険性を除去するために辺野古埋め立てを進めるかのように印象付けているが、異なる実態が浮かび上がった。

 米軍自身が高い建設費を理由に諦めた基地建設計画を、日本政府が血税を投じて達成させることに妥当性があるのか。国民の理解は得られにくい。だからこそ、日本政府は普天間飛行場の危険性除去が原点で、あくまで代替施設であると強調している。

 だが、実際は米軍が60年代から念頭に置いていた案が基になっており、現計画も普天間飛行場にはない軍港機能などが追加される。

 軟弱地盤が見つかったことで事業費が増大し、1兆円規模になることが確定している。それでも建設を完遂しようとする日本政府の姿勢は、建設費で断念した運用当事者の米軍と比べても熱心さが際立つ。

 25年前に合意された普天間飛行場の返還は日米両政府が辺野古移設に固執することで実現しないままになっている。喫緊の課題として、辺野古工事に関わりなく返還に向けた方策を探る必要がある。

(明真南斗)