<シネマFOCUS>「バイプレイヤーズ もしも100人の名脇役が映画を作ったら」 大杉漣の思いが実現


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 日本映画界の名だたる名脇役たちが本人で出演する。テレビの深夜ドラマからの劇場版で、亡くなった大杉漣さんが「映画になったらいいな~」とつぶやいたというから、出演者の数は映画への愛でもあったのだろう。

 富士山の麓にあるのどかな撮影所バイプレウッドでは、今日もたくさんの映画やドラマを制作中。その中で、若手の監督や俳優たちが手掛けているのが「月のない夜の銀河鉄道」だ。車掌役で参加してくれている役所広司は、ラストの100の役者がSLで祝杯をあげるシーンを楽しみにしてくれている。だが予算は脆弱(ぜいじゃく)。役者は集まらず、主役の子犬も逃走。アクシデントが常の現場とはいえ、前途が多難すぎて笑えない。笑えないけれど、人が必死に何かを成し遂げようとしたら必ず誰かが手を差し伸べてくれるものだ。だから泣きたいほどに笑えたりする。仕事の現場を切り盛りする人には、うんうんとうなずく作品だろう。こわもての役者さんたちの、素か演技かというたたずまいもキュートで魅力的。監督は松井大悟。

(スターシアターズ・榮慶子)