激戦地土砂の採取「人道に対する犯罪だ」 日米韓の関係者がシンポ


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沖縄戦戦没者の遺骨が残る本島南部からの土砂採取について日米韓の視点で異議を唱える登壇者ら

 沖縄戦戦没者の遺骨が残る本島南部からの土砂採取を巡り、国際的な視点から考えるオンラインシンポジウム(梨の木ピースアカデミー主催)が17日、開かれた。沖縄戦では県民や日本兵、米兵だけでなく、朝鮮半島出身者らも多数が犠牲になった。土砂は新基地建設に使われる可能性が指摘されている。「人道に対する犯罪だ」「命の真相究明が大事」。日米韓の関係者がそれぞれの視点で問題点を指摘した。

 沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」の具志堅隆松代表は、この問題が発覚した後に沖縄防衛局を訪れ「遺骨があるという認識があったか。知っていたなら人の道を外れている。反論してください」と言ったエピソードを紹介した。防衛局側からの反論はなかったことから「認識してやっている。これは人道に対する犯罪だ」と問題視した。

 沖縄戦では239人の米兵が行方不明となっており、米兵の遺骨が土砂に含まれる可能性もある。元在沖米海兵隊員で国際政治学者のダグラス・ラミスさんは米国防総省内で行方不明者らを探して、埋葬しているとして「アメリカの政策に賛成とか反対とか以前の問題だ」と指摘した。

 戦場には多くの朝鮮半島出身者も連行された。韓国の民族問題研究所の金英丸(キムヨンファン)対外協力室長は1997年から北海道に強制連行された人の遺骨を収集し具志堅さんとも活動を共にした。「一番大事なのは遺骨がなぜここに眠っているのか。どういうことをさせられたのか。命の真相究明だ。戦争の責任はだれにあるのか。犠牲者一人一人の歴史を掘り起こし、家族に返すことが大事だ」と力を込めた。