那覇市の市街地再開発事業の初事例として建設された複合施設「パレットくもじ」が、19日で開業から30年を迎える。「パレットくもじ」を管理する久茂地都市開発の我那覇学社長と、同施設でデパートリウボウを運営するリウボウインダストリーの糸数剛一氏に、今後の戦略や新型コロナウイルス収束後の方向性について話を聞いた。
那覇のパレットくもじ開業30年 「鍵は独自性。わくわく感の創出を」糸数リウボウ社長
Q.感染症の広がりが続いている。
「収束後はデパートリウボウの『第3の創業期』というつもりで、ネットを活用しながら、お客さまが足を運んでもらえる場所にしていかないといけない。ニーズ、ライフスタイルが急速に変化する中、わくわく感を創出し選ばれる店舗にしていきたい」
「鍵となるのは独自性だ。リウボウにしかない商品、サービス、専門性を上げていく。そのためには、店員、人のブランド化が大切だ。専門的な知識があって、答えてくれる店員がいる百貨店でありたい。沖縄ならではのリゾート感、開放感のある雰囲気の創出、ブランド力の向上を進めていく」
Q.地元客の集客は。
「一番大切なのは地元のお客さまだと思っている。リウボウに通ってくれるヘビーユーザーのお客さまに対して、徹底的にひいきすることを考えている。百貨店に来る特別感を大切に、使えば使うほど、お客さまが得になることに最大の力点を置きたい」
「若い客層に使われていないところもある。足を運んでもらうきっかけを、どんどん作らないといけない。沖縄、日本、世界、からだにいいモノをメインとした楽園百貨店を、デジタルでも展開を始めた。YouTubeでレシピ動画を手掛ける石川マサヨシ氏のゴールドウェルも開店した。リウボウならではの店舗で、ネットとリアル売り場を融合し、さまざまなアイデアを具体化する」
那覇のパレットくもじ開業30年 「施設の再ブランディング化に」 我那覇久茂地都市開発社長
Q.今後の戦略を。
「県下で最大級の大屋根を、2022年2月をめどに(パレット前広場に)設置する。地域の商工会と連携した物産展などのイベントを開催して生産者支援などにつなげることで、パレットくもじを起点とした地域貢献をしていきたい。百貨店が入っているビルとして認知されているが、施設の再ブランディング化に取り組んでいきたい」
Q.感染症収束後の方向性を。
「地元の人が喜ぶいいものを提供することが結果的に観光客誘致につながると思う。久茂地都市開発として昨年、道路協力団体の認可を得た。パレット前の市道の管理維持をすることになったので、観光案内所の設置などを行政と相談しながら検討し、人、モノ、情報の起点となっていきたい」
Q.魅力の再創出策は。
「不動産管理会社というだけではなくて、社会に貢献できる久茂地都市開発を目指していきたい。施設の7~8階でリウボウとともに、新たなサービス提供の協議を進めていく。久茂地都市開発の筆頭株主はリウボウなので、一蓮托生(いちれんたくしょう)の関係にある。運営に参画することで、コスト構造を改革しつつ、協議を密にして小売りに限らず求められるサービスを提供していく」
「ネットが発達する中でいかにオリジナリティー、独自性を出せるのかが大切だと思っている。感染症の収束後を見据えて、お客さまに来ていただけるパレットくもじを再創出する」