「講義を受けたいのに、抽選で落とされてしまう」。今月上旬、読者の要望を受けて取材する「りゅうちゃんねる取材班」に、沖縄国際大学の学生から困惑の声が寄せられた。人気の講義で抽選漏れとなるのはよくあることだが、本年度は多くの講義で抽選に漏れる学生が出ているという。取材を進めると、新型コロナウイルス対策が影響していることが分かった。
「26単位登録したのに、4単位しか残らなかった」「共通科目ならまだしも、専門科目ですら落ちてしまう」。ほかの学生に聞いても、同じような声が集まった。ある学生は「来年に繰り越せば、就職活動にも影響してしまう」と、来年度以降にも影響が続くことを心配する。
なぜこのような事態になったのか。
同大によると、緊急的にオンライン化した昨年度を踏まえて学生にアンケート調査をしたところ、対面授業を求める声が多かった。文部科学省が対面授業の意義を強調していることもあり、本年度は対面を模索するという方針を掲げた。
対面授業を行うに当たり、新型コロナ感染予防策として、教室の収容人員を50%に制限した。さらに、学内に滞在する学生や教職員の数「滞留人員」を1時間当たり2500人に設定した。同大の学生数は約5400人で、半分以下に抑える制限だ。
「教室収容人数」「学内滞留人員」という二つの制限により、講義の定員を減らさざるを得ず、抽選に漏れる学生が続出したというのが真相のようだ。4月以降、学内で感染者が出ていることもあり、感染予防に手を抜けない状態は続いている。
大学は「第4波」の到来を受け、オンライン化も検討している。ただ、完全オンラインだと定員を増やすことも可能だが、対面再開がある時限的なオンラインだと、定員を増やすのは難しいという。
抽選漏れが続出する事態について、西岡敏教務部長は「抽選に漏れたのなら空いている講義を受けてほしいが、『講義なら何でもいい訳ではない』という学生の気持ちも分かる。必修科目や資格取得に必要な科目は、抽選に落ちても追加で受講できるようにするので、困っている学生は相談してほしい」と呼び掛けた。 (稲福政俊)
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