高校生覚醒剤「スマホあれば薬物買える」元売人ら証言 SNS使い数時間で


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スマホを触りながら違法薬物などの話をする元売人の男性=4月、本島中部

 今年に入り高校生(当時)を含む少年5人を、沖縄県警が大麻取締法違反などで逮捕する事件が相次ぎ、若年層を中心とした県内の薬物汚染が深刻化している。県内で違法薬物の売買に関与したことがあるという元売人の男性と、県内の薬物事情に詳しい男性の2人が22日までに、琉球新報の取材に応じた。2人は県内で若年層を中心に違法薬物がまん延する現状を指摘し、スマートフォンなどの普及で薬物取引が潜在化していることを明かす。

SNS連絡、数時間で手元に

 「スマホがあれば、誰でも(違法薬物を)買える時代になった」。元売人の男性は違法薬物密売の現状を説明する。元売人の男性によると、インターネットやスマホの普及に伴い、薬物市場や販売手法は変化してきた。以前は売人が繁華街の路上に立つなどし、販売や受け渡しをしていた。現在は会員制交流サイト(SNS)を利用し、秘匿性の高いアプリのダイレクトメール(DM)などで交渉するのが主流だという。

 「SNSで買い手を募り、DMで受け渡し場所などのやりとりをする。早ければ数時間以内には、薬物が手元に届く」。購入者の中には受取先に空き地や公園を指定し、花壇やベンチ付近に置くよう求めるなど、顔を合わせないような取引を求める客もいるという。客層はさまざまで、会社員や観光客の成人、高校生など未成年者もいる。スマホでやりとりすれば、違法薬物を購入することは可能だという。「本来、未成年相手に薬物を売ることはご法度だ。ただ、ネット上では客の年齢や素性はわからない。スマホに慣れた若者はSNS上で、大人よりも巧みにやりとりしている」と説明する。

 県内の薬物事情に詳しい男性によると、県内での相場は覚醒剤が1グラム当たり4万円前後、大麻は1グラム当たり6~8千円程度。暴力団など反社会的組織と関わりのない人物が、大麻の栽培や販売を行うことも珍しくないという。「本島中部で10代の少年が大麻を持っていた。その中には中学生もいた。若年者を利用し、薬物の配達など売人行為をさせているグループもあると聞いた。想像以上に県内で未成年者が薬物に関わっていて驚愕(きょうがく)している」。男性は違法薬物が広がる県内の状況に眉をひそめた。

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 県内の若者に広がる違法薬物の実態を取材し、薬物汚染がもたらす問題を明らかにするため、琉球新報社では広く情報を募っています。メールは琉球新報社会部shakai@ryukyushimpo.co.jp

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