コロナ解雇21社659人 2月以降は正社員増 20年度沖縄


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沖縄労働局

 新型コロナウイルス感染拡大などの影響を受け、2020年度に数十人規模で従業員を解雇した県内事業所は21社で、解雇者は659人に上ることが30日、沖縄労働局への取材で分かった。前年度は0件だった。内訳は非正規従業員384人、正社員275人だった。2月以降は希望退職を募る事業所があり、正社員の解雇者数が非正規従業員を上回るなど、雇用調整の対象になっている。

 件数は「再就職援助計画」の認定件数。事業縮小に伴い、一つの事業所で30人以上の解雇が見込まれる際、事業主は同計画書をハローワークに届け出る義務がある。

 今年1~3月に解雇された労働者は7社で143人だった。雇用形態別では正社員113人、非正規従業員30人で、正社員が非正規従業員を大幅に上回った。長期化するコロナ禍で、宿泊・飲食サービス業や卸・小売業、運輸・郵便業で希望退職が発生した。

 一年を通して認定件数を見ると、緊急事態宣言が終了した翌月(昨年5、9月)や、感染が拡大していた時期(昨年7月、今年2月)に解雇が多く発生している。

 業種別では、卸・小売業が6社240人と全体の3割以上を占め、最も多かった。次いで宿泊・飲食サービス業が6社72人、製造業が3社94人、生活関連サービス・娯楽業が2社103人、人材派遣などその他サービス業が2社36人だった。運輸・郵便業が1社95人、医療・福祉業が1社19人と続いた。

 同局が同日発表した新型コロナの影響を受けて解雇や雇い止めが見込まれる労働者は、20年2月1日からことし4月22日までに計2097人に上った。直近2週間は非正規従業員29人に対し、正社員が119人を占めた。

 沖縄労働局の福味恵局長は「正社員が雇用調整の対象となる傾向が出てきた。今後の動きを注視しなければならない」と危機感を示した。 (比嘉璃子)