「沖縄と韓国の懸け橋になる」という思いを胸に沖縄で活動する韓国人男性がいる。那覇市在住のチュ・ソンミンさん(26)は県内で起業した事業を通した沖縄・韓国での発信に加え、日韓交流の場として立ち上げたインスタグラム(SNS)「沖韓」で在沖韓国人や韓国好きの日本人をつなぐ。「沖韓」のフォロワーは2500人を超え、県内最大の日韓交流コミュニティースペースとなっている。
初めての来沖は2015年。学生時代に旅行で訪れ、沖縄の豊かな自然、県民の温かな人柄に心を奪われたという。移住を決意したが、「住むからには沖縄のためになりたい」と、韓国で沖縄県産海ブドウの輸入販売業を手掛けた後、19年に沖縄に移住した。
ソンミンさんは、県民との交流を深めようと多くの行事を開催してきた。琉球大学の学生や韓国人留学生たちと定期的に実施しているビーチクリーンのほか、2年前に始めた交流会は、昨年度は本島北部・中部・南部の3カ所で開催し、多くの人が参加した。
県内の新型コロナウイルス感染者の増加に伴い、今年に入ってからは対面での交流が制限されているが、沖縄で起業したキッチンカー販売事業を通して県民とのコミュニケーションを取り続ける。コロナ感染が落ち着いた後は、韓国ツアーも予定している。
沖縄での事業展開は今年を勝負の年と捉え、韓国ファッションのアパレル事業に加え、原点である県産海ブドウの販売事業も再開する。新型コロナウイルス拡大以前は来沖外国人観光客数で韓国は第2位。外国人観光客が沖縄に戻ってくる頃には、韓国人の自分がきっかけとなり、沖縄の産業に良い影響を与えたいと思い描く。
「沖縄のためになるのか、喜ばれることなのか」。常に自問自答しながらの事業展開を心掛ける。「微力かもしれないが、無力ではない」が座右の銘の、沖縄愛に満ちた韓国人青年の物語は、これからもまだまだ続く。
(野添侑麻)
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