「人道上、間違っている」豊見城市議会、抗議受け再審議へ 遺骨混入土砂意見書


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 遺骨を含む可能性のある土砂を埋め立てに使用しないよう国に求める意見書をめぐり、3月議会で否決した豊見城市議会(外間剛議長)が、5月にも臨時会を開き、再審議する。意見書は野党の反対多数で否決となったが、豊見城市根差部のトマト農家金城博俊さん(43)ら市民から「人道上、間違っている」と抗議の声が相次いだ。抗議行動は座り込みや署名活動に発展。市議会は金城さんらの要請を受け、5月17日~19日ごろの臨時会開催で調整している。

ZEROの会派長、新垣繁人氏(左から2人目)に「市民の声を受けとめてほしい」と語る金城博俊さん(左から4人目)=4月20日、豊見城市議会

 3月 3月26日の定例会最終本会議で、意見書は賛成8、反対9、退席4の反対多数で否決された。野党の保和(ほうわ)会8人とZEROの1人が反対、4人が退席した。反対理由は「ルールに従っている採掘業者まで、風評被害を受ける懸念がある」とし、さらに「県議会の動向を見てからの判断でいいのでは」という見方だった。

 金城さんは4月3~8日まで市役所前で座り込みをし、抗議行動を実施。意見書の可決を求める署名が4540筆集まった。県議会も15日、臨時会で意見書を全会一致で可決した。市民から「豊見城市議会はどうなっているのか」という声が日増しに高まった。

 ある野党議員は「最初から賛成していればよかった」と抗議の高まりに苦しい胸の内を吐露する。

 金城さんは20日、抗議行動を共にした友人と5人で、市議会派のZEROと保和会の議員を訪ね、再審議を要請した。ZEROは会派長の新垣繁人氏が応対。金城さんらは地方自治法第101条で「議会定数の4分の1以上の議員で首長に臨時会の招集を請求できる」と定められていることを根拠に、早急な開会を要請した。

 新垣氏は「臨時会か6月定例会、どちらでもしっかり受けなければならない案件だ」と述べた。その上で、「思いは受け止めている。180度違うわけではない。事実確認をして判断したい」と答えた。

 保和会は会派長の徳元次人氏に川満玄治氏、新垣亜矢子氏の3人が対応した。金城さんら5人は否決理由についてただした。

 徳元氏ら3人は採掘業者側へ聞き取りしたことなどを踏まえ「(遺骨が混じる可能性のある)表土は掘った後、仮置きする。その下にある琉球石灰岩に遺骨が混じることはない。表土は使わないと業者は言っている」とし、遺骨が含まれないとなると「意見書を通すと矛盾することになる」と述べ、議論は平行線をたどった。その上で、3人は「しっかり議論する。合意点を探りたい」と述べた。

 市議会は22日と27日、議会運営委員会を開き、土砂をめぐる陳情と意見書の取り扱いについて協議。臨時会を開く方向性が決まった。市議会は今後、与野党で意見書の文言調整をするなど、採決に向けてさらなる具体的な協議を重ねる。

(照屋大哲)