prime

女性管理職の登用が進まないのはなぜ?沖縄の公務員リアルな声<「女性力」の現実 政治と行政の今>21


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 内閣府の2020年度の調査によると、県内41市町村の管理職(課長相当職以上)に占める女性の割合は14・0%にとどまった。そのうち7村(大宜味、東、恩納、伊江、渡名喜、北大東、伊平屋)は、特別職を含む女性管理職は0人だった。

家事と両立負担 昇進諦めも

 琉球新報は行政内の女性の登用状況を調べるため、今年1月から2月中旬にかけて、県と県内11市の職員労働組合を通して職員へのアンケートを実施した。管理職に男性が多い理由を聞いた質問に寄せられた回答は32件。理由を大別すると、「家事・育児との両立の負担」「女性に昇進意欲がない」「女性の職員数が少ないことや能力不足、意識や慣習など」「男性優位社会だから」に分けられた。

 県庁勤務の40代女性は「『重要な職場は、何かあった時にすぐ対応できるような働き方が求められている』と思い、子育て中は『私にはできない』と諦めてしまいキャリアを積むことが難しい。本当は工夫をすれば子育て中でも、やれることはたくさんある」と回答した。

 一方、男女を問わず、昇進を望む女性が少ないとの声もあった。沖縄市の30代女性は「育休期間や残業時間などで、実際の労働時間の関係もあると思うが、昇進を望まない女性の声も多い。これ以上、業務負担が増えるよりは子どもとの時間、自分の時間を増やしたいから。男性でも若い世代はそういった人が増えた」とした。
 男性管理職が次期管理職を選ぶので、男性が出世しやすいとの声も挙がる。「ある程度まで上がると、管理職(男性)がプライベートの付き合いの中から信頼できる者を選ぶという状況なので、自然と異性である女性は上がりにくいし、機会も少ない」(うるま市の40代女性)。

 女性の管理職登用率が低いのは、性別に起因するものではなく、適材適所だという意見もあった。県子ども生活福祉部の30代男性は「能力、やる気、モチベーション、(女性職員の)分母数の違い、任用されてきた配属先の違いなどの要因に関わることであり、性別差によるものではないと思う」と回答した。

 指導的地位への女性の進出が社会的にも叫ばれ、息苦しさを感じる人もいた。市職員の女性は「女性だからというだけで管理職に登用するのは逆差別だ。家事育児介護はほとんど女性が担っている。男性のほとんどは『手伝う』というスタンス。女性はそれでも管理職になって、仕事も男性と同様にしろと求められる。無理をしてでも頑張らなくてはいけないとの無言の圧力を感じる」と家庭にも仕事にも追い回される厳しい現実を記した。
(梅田正覚)

 

ご意見募集

 世界的にも遅れている日本の「ジェンダー平等」。玉城県政は女性が活躍できる社会の実現を掲げ、県庁内に「女性力・平和推進課」を設置しましたが、政治や行政分野で「女性の力」を発揮する環境が整わない現状があります。女性が直面する「壁」を検証します。報道へのご意見やご感想のメールは、右記QRコードを読み取るか、seijibu@ryukyushimpo.co.jpまで。ファクスは098(865)5174