沖縄戦を出前講話で継承へ 八重山商工生、体験者から聞き取り


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功刀弘之教頭(右)の授業を受ける八重山商工高の生徒ら =4月30日、石垣市

 【石垣】将来、観光業に携わる生徒らが沖縄戦の歴史も踏まえた沖縄の魅力を発信できるようになることを目的に、八重山商工高商業科観光コースでこのほど、生徒らによる沖縄戦の出前講話に向けた取り組みが始まった。生徒らは今後、授業の一環として戦争体験者らから話を聞くなどして知識を深め、石垣島の小中学生らに講話することを目指していく。

 取り組みを始めたのは同コースに通う2年生19人。事前準備として4月30日、県平和祈念資料館での勤務歴もある功刀(くぬぎ)弘之教頭による授業があった。

 授業で功刀教頭はアウシュビッツ収容所や原爆ドームなど負の遺産を旅する「ダークツーリズム」について説明。観光客が美しい自然などを求めて来る沖縄の島々には、ダークツーリズムの現場という側面もあることを指摘した。

 また沖縄戦後にハワイの県系人が沖縄に豚を送った逸話や琉球ガラスの発展の成り立ちなども紹介し、現在の沖縄の食事や工芸品にも戦争の影響があることなども伝えた。

 授業を受けた新垣美愛(みあ)さん(16)は「今もある文化が昔の出来事につながっているとは知らなかった。将来は観光業に就きたいが、沖縄のことを伝えられるようになりたい」と話した。

 生徒らは今後、戦争に関する勉強を進め、6月に全校生徒に学習成果を発表する予定。