国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関が、亜熱帯の森に貴重な動植物が生息する「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」(鹿児島、沖縄)を世界自然遺産に登録するよう勧告したことが10日、分かった。
2018年に登録延期勧告を受け、いったん政府推薦を取り下げての再挑戦だった。20年のユネスコ世界遺産委員会が新型コロナウイルスの影響で延期されたため、さらに1年遅れての登録実現となる。
7月16~31日にオンラインで開かれる世界遺産委で正式に決まる見通し。日本の世界遺産は文化遺産を含めて現在23件。自然遺産は11年の「小笠原諸島」(東京)に続き5件目となる。
鹿児島県の奄美大島と徳之島、沖縄本島と西表島の4島にまたがる推薦区域は計約4万3千ヘクタール。大半を森林が占め、アマミノクロウサギやイリオモテヤマネコなど数多くの固有種を誇る。住民は貴重な動植物を守りつつ、自然と共生した暮らしを続けている。
17年に登録を推薦したが、ユネスコ諮問機関の国際自然保護連合(IUCN)は18年5月、飛び地状になっている推薦区域が多く一体的に保全できないなどの理由で登録延期を勧告した。
政府や地元自治体は、米軍から返還されていた沖縄本島の訓練場跡地などを編入して区域を再編。外来種対策なども強化して、19年2月に再推薦した。
21年の世界遺産委は、奄美・沖縄など20年に審査予定だった候補と21年分とを合わせて審査する。21年分の文化遺産候補として推薦している「北海道・北東北の縄文遺跡群」(北海道、青森、岩手、秋田)についての諮問機関の勧告は、今月後半に出るとみられる。