【記者解説】これまでの経緯と今後の課題は?<沖縄・奄美 世界遺産>


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清流やんばる うっそうと広がる亜熱帯樹林を流れるやんばるの清流=2019年12月、国頭村内(又吉康秀撮影)

 沖縄・奄美の世界自然遺産登録は、2018年の延期勧告、20年の新型コロナウイルス感染症での延期を経て、ようやく国連教育科学文化機関(ユネスコ)への登録が勧告された。本決定は7月だが、登録への大きな一歩に関係者の喜びは大きい。

 延期勧告された18年、独特な生物多様性は評価されたものの、日本政府が推薦した地域が飛び地などを含んで分断されており、生態系の連続性を担保できないとされた。沖縄島北部では16年に返還された米軍北部訓練場の返還地を含めていなかったこともあり、国は返還地を推薦地に追加するなどして19年に推薦書を再提出した。今回の登録勧告は18年の「宿題」を手堅く仕上げた結果とみえる。

 常に指摘されるように遺産登録はゴールではなくスタートだ。この間、県は希少種保護条例を作り、オーバーユースを防ぐため西表島は入島人数の上限、やんばる3村は認証ガイドなど体制を整えてきた。

 一方で、名護市や本部半島で外来種が増えれば、3村にも侵入リスクは上がる。保全には市町村だけでなく県、国を挙げての継続的な人手や予算も必要だ。世界に認められた沖縄、琉球弧が誇る宝の維持へ「地元」任せではない取り組みが求められる。 (黒田華)

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