ヤシガニ「軽くて鋼鉄並み」はさみの秘密は100層構造 素材開発応用も


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ヤシガニのはさみの内部構造の模式図(国立研究開発法人物質・材料研究機構提供)

 【本部】ヤシガニのはさみは鋼鉄並み! 沖縄美ら島財団(本部町)と国立研究開発法人物質・材料研究機構(茨城県)は24日、陸生で世界最大の甲殻類・ヤシガニのはさみが鋼鉄並みの硬さで、100枚ほどの層からなる壊れにくい複雑な構造を持つことを解明したと発表した。

 はさみの組織構造を世界で初めて3次元(3D)可視化に成功した。物資・材料研究機構は「軽量でありながら強靱(きょうじん)性を兼ね備えており、自動車や航空機など輸送機器用素材や部材への適用で、二酸化炭素排出量削減に貢献することが期待される」としている。

 ヤシガニは太平洋の熱帯域から亜熱帯域に生息する甲殻類。絶滅危惧種に指定されている。研究グループは、最大サイズの体重4キロのヤシガニがはさみで物を挟む「把持力」が約360キロと、ライオンのかむ力に匹敵することに注目。体重約1キロのヤシガニのはさみを調べ、薄くて堅い石灰化された層が水平に回転するねじれ構造となり、それらの層が100枚ほど積層していることを発見した。

 複雑な微細積載構造(ねじれ合板構造)の内部は外側より柔らかく、多孔質でクッションのような役割となってはさみで挟んだ物からの反発力を吸収し、一部の層が壊れてもはさみ全体は壊れない仕組みになっていているという。

 沖縄美ら島財団総合研究センター動物研究室の岡慎一郎主任研究員は「将来、この構造が何らかの材料に応用される可能性がある夢のある成果だ」としている。

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