土地規制法案、衆院通過 4日から参院で攻防


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 【東京】自衛隊や米軍基地など安全保障上重要な施設周辺の土地利用を規制する法案は、1日の衆院本会議で自民、公明、日本維新の会、国民民主の賛成多数で可決し、衆院を通過した。会期末が迫る中、与党側は4日に参院で審議入りさせ、会期内の成立を目指す。一方、衆院の審議では、問題とされる「機能阻害行為」の法律上の例示や対象区域の候補地一覧が示されず、立憲民主や共産は反対姿勢を強めており、参院でも攻防が続きそうだ。
 
 安全保障上重要な施設の周囲約1キロや国境離島を「注視区域」に指定し、所有者の調査や、施設機能を妨害する行為への中止勧告・命令を可能にする。
 
 司令部機能を持つ自衛隊基地周辺などは「特別注視区域」とし、一定面積以上の売買に利用目的の事前届け出を義務付ける。
 
 命令に従わない場合や、事前届け出を怠ったり虚偽の内容を届け出たりした場合は、懲役や罰金を科す。
 
 政府は対象区域として、県内では自衛隊施設がある与那国島と宮古島を規制の度合いが強い「特別注視区域」の候補に挙げた。また、有人国境離島地域として沖縄島など50島、第11管区海上保安本部など海上保安庁関係8施設も候補とした。
 
 野党は法案審議で規制の対象となる施設や妨害行為が不明確だと指摘したほか、恣意(しい)的な運用への懸念を表明した。立民は外国資本に対する規制には一定の理解を示したが、国会や自治体の関与についての規定がないことを問題視し、政府案を修正するよう協議を求めたが、与党は拒否した。
 
 衆院内閣委員会で与野党は、私権制限への配慮や自治体との事前協議のほか、国会への報告を盛り込んだ付帯決議案を採択した。
 
 具体的には、区域の指定にはあらかじめ自治体の意見を聴取し、その結果を国会に報告するほか、勧告・命令の状況を毎年度公表することを盛り込んだ。