土地規制法案が参院審議入り 与党「安全保障」野党「県民監視も」


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 【東京】自衛隊や米軍基地、国境離島など安全保障上重要な施設周辺の土地利用を規制する法案が4日、参院本会議で審議入りした。自民党の和田政宗氏は「国の存続や国民の生命が重大な危機にさらされる事態は避けなければならない」と必要性を訴えた。一方、立憲民主党の木戸口英司氏は、規制される行為や調査範囲が明示されておらず「安全保障を盾に政府は説明責任を忌避している」と問題視した。与野党で真っ向から対立した。

 法案は内閣委員会で8日から審議される予定。国会会期末が16日に迫り、与党は今国会での成立を急ぐ。野党は規制の対象も不明確だとし、審議時間を十分確保するよう求めている。

 質疑で和田氏は重要施設周辺の土地が悪用されれば「気が付いた時にはもう手遅れだ」と対応を急ぐべきだと訴えた。ただ、法案に基づく勧告や命令では問題行為が排除されない恐れがあるとし、売買契約の無効や政府による強制的な買収などの措置を求めた。小此木八郎領土問題担当相は、法案が規定した5年後の見直しで検討する考えを示した。

 木戸口氏は防衛施設の保安徹底や外資による土地買収の懸念に理解を示しつつ、法案にあいまいな点が多いことを指摘。県土そのものが有人国境離島で、防衛施設が集中する沖縄は「県民が知らぬ間に監視下に置かれることもあり得る」と強い懸念を示した。土地の利用状況を把握するために行う報告、または資料の提出を求める対象を法律に明記するよう求めた。

 小此木氏は利用者や、利用者が法人である場合はその役員、当該土地で工事などを行う下請け業者を想定しているとしたが法律への例示は否定した。この法に基づき収集した情報は、特定秘密保護法が指定する特定秘密には該当しないとの見解も明らかにした。

 共産党の田村智子氏が自衛隊が情報収集に携わるかを問うたのに対し、岸信夫防衛相は「具体的な協力の在り方は検討中」だとして明確な回答を避けた。