国場幸一国場組会長らでつくる「保守合同を実現し沖縄の未来を創る会」(保守合同の会)の幹部らが上京し、自民党本部に下地幹郎衆院議員の復党に向けた要請行動を展開した。同党県連を飛び越し、党本部の二階俊博幹事長に4800人超の新規党員名簿を提出。県内市長選での選挙協力など、党本部に直接、自民党への「貢献」を訴えることで下地氏の復党への理解を求めた。
二階氏は「沖縄を大事にしている。下地さんは沖縄の財産だ」と下地氏の政治的な影響力に評価を示しつつ態度を留保。山口泰明選対委員長は「事情はよく分かった」としながらも復党は「党本部で預かる」と明確な回答は避けたという。
復党に反対する県連幹部は「既に復党反対の組織決定をして、党本部に上げている」と静観の構えだ。公明党県本幹部は「自民の問題。外からどうのこうのとは言えない」と口を閉ざした。
■1千万円超
関係者によると、保守合同の会が新規党員勧誘を始めたのはうるま市長選後の4月下旬。会の役員から「3千人の新規党員獲得が必要」と説明があったという。
新たに党員になった関係者によると、入党届の紹介者は国場氏の名前が記されていた。県内最大手の建設会社トップが旗振り役で「断れなかった」(建設関係者)との声も漏れる。
自民党のホームページによると、党員が支払う党費は「一般党員」は年額4千円、「家族党員」は年額2千円、「特別党員」は年額2万円以上とされる。4千人超の新規党員の党費が必要と仮定すると、少なくとも1千万円以上が党本部に支払われることになる。
■二階氏の思惑
「地元(県連)との関係を良くしないと復党は簡単には認められない。政権政党をなめてもらっちゃいかん」。党本部役員は厳しい口調で話す。党本部内では県連に連絡なしの要請行動を非難する見方も広がる。
民主党政権で要職を務めた細野豪志衆院議員も2019年1月に自民党入りを二階氏に要請した経緯がある。細野氏は現在「自民党二階派」として活動するが、細野氏の地元の静岡県連が強く反発していることなどから、派閥入りから2年以上たっても正式な党員となっていない。
党関係者は保守合同の会の要請行動について、「結局は自らの力を誇示したい二階氏の思惑に利用されるだけになるだろう」と冷ややかな見方を示した。
保守合同の会の関係者は新規党員数について「県連もそうだが、総裁選を控えている党本部もこの数は無視できないはずだ」と語る。衆院選で下地氏と同じく沖縄1区で自民から出馬予定の国場幸之助氏との一本化に向け、協議が進むきっかけになるとし「このまま放置していたら苦しくなるのは国場(幸之助)氏の方だ」とみる。
7月11日には衆院選沖縄1区の前哨戦ともみられている那覇市議選がある。保守陣営の中でも、一部で下地氏の復党を支持する動きも表面化する。県関係国会議員の一人は「コロナで厳しい時期に党員獲得などに奔走する姿は有権者にどう映るのか。冷めた見方につながらないか」と指摘した。
(安里洋輔、池田哲平、大嶺雅俊)
【関連ニュース】
▼下地氏の復党を自民に要請 保守合同の会、4800人超の入党申込書を提出
▼【深掘り】下地幹郎氏の復党巡り 自民と経済界、攻防が激化 執行部は板挟み