激戦地土砂問題「若者はもっと関わりを」 沖国大の仲本さん、県内大学で授業 


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沖縄戦戦没者の遺骨が混じった土砂が新基地建設に使われる可能性がある問題について授業する仲本和さん=5月13日、宜野湾市の沖縄国際大学(仲本和さん提供)

 「沖縄戦体験者が、もう戦わなくていいようにしたい」。沖縄戦戦没者の遺骨が混じった土砂が名護市辺野古の新基地建設に使われる可能性がある問題について、県内の大学を中心に、仲間と協力して授業を展開している大学生がいる。「これからの時代を担う若者がもっと積極的に、問題解決や議論に関わるべきではないか」。沖縄国際大学4年生の仲本和(わたる)さん(21)は力強く訴える。

 仲本さんは那覇市出身。平和学のゼミで学ぶ。これまで沖国大や琉球大学などでオンライン授業を含め9回開催した。辺野古新基地建設に伴う本島南部からの土砂採取計画について、自ら授業をするまでに仲本さんを突き動かしたのは、沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」代表の具志堅隆松さんの存在だった。3月、那覇市の県庁前で具志堅さんがハンガーストライキを実施すると、呼応するように県内外でハンストが起こり、反対の声が広がった。「具志堅さんのものすごく強い意志を感じた」。仲本さんは自らも行動を起こす決意を固め、授業で問題を共有することを思いついた。

 仲本さんは5月に、土砂の採掘が予定されている糸満市米須の魂魄の塔近くの鉱山で、80代の戦争体験者と会った。同鉱山では、沖縄戦戦没者の可能性がある遺骨が見つかっている。「ここの土砂を基地建設に使わないでほしい」。体験者の言葉が胸に突き刺さった。「なぜ戦争を生き抜いた人が今もまだ、戦い続けているんだろう。若い人たちがもっと考え、声を上げるべきだ」。思いをさらに強くした。

 「まだ始めたばかり。時間がかかるかもしれないが、多くの同世代の人たちに訴えて、一緒に考える時間をつくりたい」と話した。 (嘉数陽)