新型コロナウイルス感染拡大により、沖縄県内の小中高校生が沖縄戦体験者らの話を直接聞く機会が激減している。県教育委員会の調査によると、沖縄戦体験者を含む外部講師らによる平和集会の実施は小中で、感染拡大前の2019年度が複数回答で計305件だったが、感染拡大後の20年度は129件となり、前年度から約6割(176件)減っていた。県立学校の実施校数は19年度61校から20年度12校の約8割(49校)減だった。
感染防止のために人的交流を控えることや、話者の沖縄戦体験者が新型コロナ感染で重症化しやすい高齢者であることも要因とみられる。多くの学校で平和教育が実施される5~6月は、21年度も感染防止のための休校措置で影響を受けている。
沖縄戦体験者らを含む「外部講師による集会」については、複数回答で小学校が19年度208件から20年度79件の129件減、中学校は19年度97件から20年度50件の47件減となった。
慰霊塔や戦跡を巡る学習の実施を尋ねると、複数回答で小学校が19年度235件から20年度164件と71件減少した。中学校では19年度101件から20年度53件の48件減、県立学校の実施校数は19年度34校から20年度10校の24校減だった。
平和学習の取り組み総数(複数回答)も感染拡大前後で大きく減少した。小学校は19年度1321件から20年度1166件で155件減った。中学校は19年度551件から20年度497件で54件減った。
一方、この取り組み例のうち、人的交流のない「映画やDVDなどの視聴」が小学校で19年度144件から20年度176件と32件増えた。中学校でも19年度61件から20年度66件で5件増えた。
「新聞記事の活用」も、小学校で19年度162件から20年度174件で12件増、中学校で19年度93件から20年度109件で16件増えた。
調査は県教育委員会が、公立小中学校と県立学校に対し、平和教育に関する取り組み状況(複数回答可)を書面で聞いた。
小学校は19年度に263校、20年度に260校が回答した。中学校は19年度に147校、20年度に140校が、県立学校は両年度共に特別支援学校21校を含めた90校が回答した。 (嘉数陽)