重田真妃さん 「平和メッセージ」作文最優秀賞受賞 「託されたもの」考える 体験者の話 継承決意


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重田真妃さん

 県内の小中高校生から図画や作文、詩を募った第31回「児童・生徒の平和メッセージ」作文部門の高校の部で、首里高校2年の重田真妃さん(16)が最優秀賞に輝いた。タイトルは「私たちに託されたもの」。祖父や昨年亡くなった元ひめゆり学徒の津波古ヒサさんから聞いた戦争体験や、当たり前の日常に感謝することなどをつづった。「戦争体験者が少なくなる中、私たちに何ができるのか考えるきっかけにしたかった」と思いを語る。

 重田さんは小学6年生のとき、授業の一環で津波古さんの戦争体験を聞いた。津波古さんはひめゆり学徒隊として動員され、負傷兵の看護や、砲弾が降り注ぐ中での食料運搬に従事した。津波古さんが動員された年齢に近づくにつれ、重田さんは「自分が体験者だったら耐えられない」と考えるようになった。

 6歳で沖縄戦を体験した祖父からは、家族とはぐれて一人で逃げ回った話を聞いた。祖父は「戦争中、一番恐ろしかったのは人が人でなくなったことだ」と語っていた。重田さんの心には、戦争の恐ろしさが強く刻まれた。

 2人の体験を聞き「戦争の悲惨さや命の尊さ、戦争体験者の平和への思いを受け継ぎ、次の世代に伝えることが大切だ」と実感した。津波古さんは昨年12月に93歳で亡くなった。「私たちにできるのは、体験者から聞いた話を次の世代に語り継いでいくことだ」という気持ちが強まり、作文に思いを込めた。

 重田さんは今後も平和について学び、考えていくつもりだ。作文には「『平和』とは、願うものではなく、自分たちが日々守り育てていくもの」と書いた。将来の目標は教師になることで「子どもたちに平和教育の大切さを伝えられる人になりたい」と力を込める。沖縄戦の体験者から戦争の悲惨さを聞き取った一人として、平和への思いを未来につなげるために決意を新たにした。

(吉原玖美子)